銀行の貸し剥がし、貸し渋りが始まる?
メガバンク3行が大リストラ案を打ち出した。
みずほ銀行は1万9000人削減し、現在の7万9000人から6万人にする。500拠点ある店舗数を100拠点減らす。三菱東京UFJ銀行は3万人の従業員の3割に当たる9500人分の業務を減らし、国内店舗数480のうち1~2割を統廃合する。三井住友銀行も20年までに4000人の業務を削減する。
きっかけは、日本銀行のゼロ金利政策・マイナス金利政策の導入で利益が出なくなったことだ。銀行は期間の短い預金のかたちで資金を調達し、期間の長い貸し出しや債券(国債)などに投資して利益を得るビジネスモデルになっている。通常は長期金利が短期金利を上回るから差益が出るが、長短金利が逆転すると運用利回りがマイナスに転落し、利益が出ない。
日銀のマイナス金利政策で、長短の金利の利ざやで稼ぐ銀行のビジネスモデルが崩壊し、銀行は構造不況に突入した。その結果、貸し渋りや貸し剥がしが発生し、あっという間に景気後退の局面に突入する。
バブル崩壊時、バブルに関係なかった企業が貸し渋りや貸し剥がしの憂き目に遭った。これが「失われた20年」最大の原因である。
日本の命運を決める第4次産業革命への投資
カネは企業の懐で唸っている。財務省の法人企業統計によると、16年度末の企業の内部留保は406兆円と初めて400兆円の大台を超え、過去最高となった。4年間で100兆円も増加した。企業は設備投資や株主への配当金、従業員の給料(人件費)を抑えて資金をため込んだのだ。このカネを何に使うのだろうか。
今後の日本経済に大きな転換点となる可能性があるのが「第4次産業革命」だ。第4次産業革命は、あらゆるモノがインターネットでつながるIoTや、人工知能(AI)によって起こるといわれている。
ため込んだカネを、このようなイノベーション(技術革新)に投資することで、日本企業の国際競争力が高まり、再びのバブル崩壊の危機を乗り越えて新たな成長をもたらすことができるだろう。
(文=編集部)