ウイスキーの伸びが日本酒を上回る
けん引役の日本酒に続くのがウイスキーとビールだ。ともに本場はヨーロッパ。スコッチウイスキーやドイツビール、ベルギービールといった本家を相手に、どんな戦いをしているのだろうか。
ウイスキーの17年(1~11月)の輸出量は5003キロリットル、輸出額は123億2529万円(同時期の輸入額は272億円)。前年度同期比で数量は10.2%増、金額は25.2%増となっている。こちらも昨年の年間実績を上回り、過去最高を更新した。10年前(07年)のウイスキーの輸出額は11億9200万円にすぎず、10年間で10倍以上になっている。輸出額は輸入額の半分の水準になってきた。
「13年(39億8000万円)以降の伸び率が目立ちます。同年は前年比60.7%増、14年は47.0%増、15年は77.4%増と急伸が続き、16年は4.5%増と落ち着きましたが、17年は11月までで25.2%増と再び人気が復活しました。数量も増えていますが、伸びは金額のほうが大きいことから、高級品が人気になっているということでしょう」(経済ジャーナリスト)
輸出先上位(金額ベース、17年1~11月)は、米国33億2700万円、フランス26億1200万円、オランダ14億4400万円、台湾10億6000万円、シンガポール10億4600万円と続き、本場の英国も9億5000万円で6位に顔を出す。ちなみに、英国からの輸入額は183億円。
海外の品評会でニッカウヰスキーの「竹鶴25年ピュアモルト」やサントリーの「響21年」などが金賞や最高賞を受賞するなど、海外での評価が高まったことが好調の背景となっている。加えて、年間2600万人超のインバウンド(訪日外国人客)が“ジャパニーズウイスキー”の味に触れ、品質の高さを認識したこともあるとみられる。
ニッカの欧州市場への輸出は、06年から本格化。12年から米国、13年からは豪州でも販売を始めた。輸出の数量は、15年は前年比83%増となったが、その後は原酒を確保するため数量を制限し、今後は安定供給を図っていくという。
サントリーは「響JAPANESE HARMONY」などプレミアムウイスキーを欧米中心に、アジア向けには「角瓶」を輸出している。ニッカ、サントリーともに蒸溜所を訪れる外国人客が増加中で、多国語対応の音声ガイダンスやイヤホンガイドで対応している。