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日本のウイスキー、輸出激増で世界的ブームの兆候…ビール工場に外国人観光客殺到

文=山田稔/ジャーナリスト

ビールは沖縄のオリオンビールに注目

 続いてビールの実績を見てみよう。17年(1~11月)の輸出量は、10万6869キロリットルで前年同期比38.3%増、輸出額は117億6906万円で同32.8%増だ。ともに16年の年間実績をすでに上回り、過去最高を更新した。

 鮮度が重要視され単価が安いビールは、普通に考えれば輸出向きの商品ではない。安価な労働力や設備投資のコストを勘案すれば現地生産したほうがいいと考えがちだが、輸出が増え続けている。10年から毎年20%近い伸びを続け、15年は29.9%増、そして17年(1~11月)も前年同期比32.8%増の伸びを記録した。

 17年のビール輸出国(金額ベース)は、韓国73億3324万円、台湾13億3163万円、米国7億4982万円、豪州7億3042万円、シンガポール4億2753万円と続く。近隣のアジア諸国が中心だが、米国にも結構出ている。

「アジア諸国では、日本産のビールは現地のビールよりもランクが上の高級ビールとして支持されています。『アサヒスーパードライ』が中心のアサヒブランドは、輸出と現地生産により50カ国以上で販売。サントリーは『ザ・プレミアム・モルツ』を、アジアを中心に展開しています。輸出量の多い韓国では、アサヒが11年から6年連続で輸入ビールのシェア1位です」(経済ジャーナリスト)

 国内のビール工場への見学者も多い。17年にアサヒビールの8工場を訪れた外国人は23万人を超えた(前年比22.4%増)。博多工場の海外来場者数は約10万5000人(同26.7%増)に達する。工場見学を担当するアサヒビールコミュニケーションは、毎年1回「おもてなし英語研修」を実施。15年には英語、韓国語、中国語の対応が可能な「外国語音声ガイドツール」を全工場に導入した。

 ビール輸出で見逃せないのが沖縄だ。沖縄県のビール輸出は09年ごろから増加傾向を示し、15年に輸出量2489キロリットル、輸出額3億8100万円と過去最高を記録した。その後も増え続け、17年1~11月は同2799キロリットル、4億2217万円で前年の年間実績を上回り、3年連続で過去最高となっている。

 日本全体からすれば、沖縄のビールのシェアは金額ベースで3.6%と微々たるものだが、地理的にアジア諸国と近いことや地場のオリオンビールがこの数年、主力の台湾だけでなくベトナム、ロシアなどに向けて積極的な海外展開を図っていることが奏功した。今後の動きが注目される。

 ジャパニーズワインの人気も高まりつつある。醸造、蒸留技術の確かさ、品質の高さが幅広く認められている。

 酒類は地方の小さな業者が多いだけに、地方の活性化につなげてほしいものである。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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