――それが、なぜ世界地図ビジネスへつながったのですか。
松岡 亡くなってしまいましたが、カンボジアに内田弘慈さんという友人がいました。現地で孤児院を開設、運営していた篤志家でした。内田さんのところに遊びに行ったら、現地では泥水を沸かして飲んでいるんですね。とても驚き、考えさせられました。それで、これは井戸を掘ってあげなければいけない、と思ったわけです。私の経歴だと、普通は「学校をつくってあげよう」ということもあったかもしれませんが、その前に「なんとか綺麗な水を飲んでもらおう」と思いました。井戸のほうが優先順位が高い、と強く思いました。
――その原資として、御社を創業されたのですか?
松岡 自分の塾(財源)を手放してしまったことを後悔しました。しかし、嘆いていても仕方がないので、可能性を見いだしていた世界地図で収益をあげて、第三世界への井戸提供に寄与しよう、と思ったのです。
松岡 当社では、定款に最初から「世界地図の制作・販売」と並んで「井戸を掘ること」を謳いました。結論から言うと、井戸掘りの資金稼ぎのためにつくった会社です。
広告媒体であり、啓蒙・教育媒体
――お持ちいただいた世界地図を拝見します。各国の中に、それぞれのお国言葉が書き込まれていますね。
松岡 これは『世界の言葉で「ありがとう」』という商品です。地図全体の大きさは縦535ミリ、横775ミリのなかで、下部の縦75ミリ幅で広告や、購買主のメッセージなどを入れてもらいます。
――つまり壁貼り広告媒体ですね。
松岡 その通りです。貼られている期間が長いし、同じ人たちが繰り返し見るので、大きな訴求効果があります。
――メッセージのほかに、その年のカレンダーをあしらったものもありますね。
松岡 はい。カレンダーを表示すると、その年はずっと貼っていただき、見ていただく、ということになります。売れ筋商品としてはほかに、『すばらしい国 日本』(各国との各種比較指標を掲げている)、『みんなで守ろう美しい地球』(各国の環境指標)、『日本と世界の偉人達』(主要国で輩出した偉人の顔イラスト)、『世界遺産めぐり』などあります。そのほか発注主のご要望に応じてオリジナルな内容を盛り込むこともお受けしています。