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トヨタ、100年に一度の大変革…業界の主導者か、一部品メーカー転落の分岐点へ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 そのトヨタが、大きな試練に直面している。今回の第3四半期決算について、決算数値上のポイントは米国の減税と円安によって、実力以上の利益が確保されたことだ。それは重要だが、持続可能なものではない。世界全体での販売台数も伸び悩んでおり、需要を喚起できるか否か経営の実力が問われる。

 さらに重要なことは、中長期的に考えると、これまでの自動車の常識が、徐々に通用しなくなる可能性が高まっていることだ。中国では、電気自動車(EV)の普及が重視されている。それ以外にも、世界的にネットワークシステムと連動した(つながった)自動車の開発が急がれている。自動車というプロダクトは、移動の手段ではなく、生活の場であり、データ収集機器であり、その他のさまざまな応用が目指されるデバイスとして扱われ始めている。

 今回の決算発表にてトヨタは『競争力プレゼンテーション資料』を決算発表の場で示した。それは、変化が進むなかでも、これまで以上に技術力を引き上げて、環境の変化に対応できる企業としての基礎体力を高めようとする意思表明と読み取ることができる。

競争力を左右するネットワークサイエンス

 
 今後の自動車業界の展開を考えると、従来にはなかった取り組みが、かなりのスピード感を伴って進んでいく可能性がある。まず、電気自動車(EV)へのシフトが注目を集めている。その理由は、中国が電気自動車の普及を重視しているからだ。すでにトヨタは中国の合弁相手先である第一汽車と広州汽車からEVを調達し、当面の対応を進める方針だ。それはトヨタの中国市場の開拓が遅れたことの結果である。同時に、環境の変化を見定めながら、長めの目線でコアとなる技術を開発するために必要な発想と見ることもできる。この判断がトヨタの経営にどう影響するかは、時間の経過を見る必要があるだろう。

 このように考えるのは、自動車業界の変革がEV化にとどまるとは考えられないからだ。最終的に自動車はコネクテッドカーとして使われるようになるだろう。1月にラスベガスで開催された世界最大の家電見本市である「CES」では、トヨタがコンセプトカーである「e-パレット」を出展した。これは、自動運転を含む移動だけでなく、物流、宿泊、物販等、さまざまな用途を念頭に置いたコネクテッドカーのコンセプトである。このコンセプトを延長していくと、自動車が医療機関になる、オフィスになるなど、幅広い応用が可能だろう。

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