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MRJ、360機発注キャンセルの可能性も…販売できぬまま撤退の最悪シナリオの恐れも

文=編集部
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ボーイング=エンブラエル、エアバス=ボンバルディアの2強体制へ

 衝撃的なニュースが報じられ、話題になっている。MRJのライバルが相次いで大手航空機メーカーの傘下に入ることになったのだ。

 世界の民間航空機産業は長年、米ボーイングがリードし、欧州航空機メーカーはボーイングに対抗してエアバス・グループを設立した。その後はボーイングとエアバスが激しい受注競争を繰り広げてきた。

 小型機(リージョナル・ジェット)の市場では、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルが市場を分け合ってきた。事実上、この2社がMRJのライバルだ。

 ボンバルディアは座席数100~150程度の「Cシリーズ」の開発につまずき、17年10月にエアバスと提携した。Cシリーズは、現行機種に続く新型機の開発構想がない。そのため、格安航空会社(LCC)などで運航している機種が退役時期を迎えれば、ブラジルのエンブラエルに乗り換えることになるとみられていた。

 これは新規参入するMRJにとって、千載一遇のチャンスだった。こうした流れのなかで、ボーイングのエンブラエル買収プランが浮上したのだ。

 ボーイングはブラジル政府が懸念するエンブラエルの防衛部門に関して、ブラジル政府と協議する方針だという。

 一方、エアバスはボンバルディアの小型機事業に出資することを決めた。

 リージョナル・ジェット市場は今後、エアバス=ボンバルディア、ボーイング=エンブラエルの2強に集約される。この結果、MRJは巨大メーカー2社に挟撃される格好になる。2社に勝てる可能性は限りなくゼロに近いとみる専門家もある。

 かつて三菱重工はビジネスジェット機「MU-300」を開発して新規参入したが、1800億円の累積赤字を出して撤退した苦い経験を持つ。MRJが危機に立たされ、MU-300の悪夢がよみがえってくる。

 三菱重工の宮永俊一社長は2月6日、4月以降の続投を表明した。「今は大きな問題に会社全体で取り組む戦闘状態。(略)戦闘状態のなかで急にリーダーが代わるのはどうか」と話し、MRJの事業化に全力を注ぐ考えを示した。だが、航空機市場の寡占化が進むなか、MRJからの撤退を選択しなければ、傷が大きくなることは避けられないだろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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