――掘削する国はカンボジアが多いのですか。
松岡 もちろん、いろいろな国で展開したいのですが。カンボジアは、まず私が最初にこの事業を思い立ったところですし、R.Tさんという、第1回PKO(国連平和維持活動)隊員としてカンボジアに地雷撤去のために赴任されて、定住なさった方がいます。この方がタイとの国境沿いにお住まいで、実際の井戸掘りのコーディネートなどなさってくれています。今現在も2カ所で掘ってもらっています。タイとの国境沿いのほかに、アンコールワットの奥地でも1カ所掘削中です。
――カンボジア以外では、どう展開なさってきたのですか。
松岡 バングラデシュでも手がけましたが、そこでは水質の問題が起こりました。現地で協力していただけるY.TさんとR.T.さんの存在が大きく、私の井戸掘り事業がカンボジアに集中してきました。彼らがいるので、私は新しい井戸が開削されるたびに現地を訪問するわけではありません。
国際交流にも発展
――現地での日本人コーディネーター、協力者の存在が大きい、ということですね。
松岡 スムーズに井戸掘削を進める上では必須だと思います。
――現在は松岡代表の個人的知り合いだけで展開していますが、この事業は有意義なことから、できればJICA(国際協力機構)などと連携できるといいですね。JICAから第三世界の多くの国に日本人専門家が派遣され、常駐しているわけですから。
――代表の井戸掘りプロジェクトは、各国でとても感謝されているでしょうね。
松岡 カンボジアで開削した地域にカムリエン高校というのがあります。ここの校内に掘られた井戸は、青森県の八戸高校が当社の世界地図5,000枚をご購入いただいたことで寄付されました。この寄付が経緯となり、カムリエン高校と八戸学院光星高校が姉妹校となりました。カムリエン高校からチェンターさんという女生徒が八戸学院光星高校に留学してきて、さらに松山東雲女子大学を卒業し、その後、愛媛県内の企業に就職して在日しています。
――国際交流にも発展したわけですね。そういう現地の衛生確保に貢献したい、という企業や個人は結構いると思います。世界地図を貴社から5,000枚購入することでそれが実現できるわけですね。もっと知られてよいことだと思います。
松岡 前述の通り海外井戸掘りへの直接寄付というかたちもお受けしていまして、その場合は工事難度によって20万円から30万円の寄付をお受けして、そのお礼として世界地図を500枚さしあげる、というスキームもあります。