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マツモトキヨシ、深まる中国人客依存リスク

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

 そのなかで、マツモトキヨシのビジネスモデルは、他社とはやや異なる。同社は、駅前を中心に店舗の進出を進め、日用品もさることながら化粧品を多く取り扱ってきた。マツモトキヨシは09年にローソンと業務提携を行い、ドラッグストアとコンビニの融合を目指したが、その計画は失敗した。その理由は、販売価格をディスカウントするか、定価で販売するか調整が難しかったからだろう。

 そうした反省もあり、マツモトキヨシの経営戦略は、“何でも揃う”店舗運営を目指す他のドラッグストアチェーンとは異なり、自社ブランドでの化粧品販売などに力を入れていると考えられる。ウエルシアなどの競合他社は食品、医薬品、冷凍食品などの販売で収益を増やしている。それに対して、マツモトキヨシの戦略は、高付加価値のビジネスを重視したものに向かっているともいえる。

インバウンド需要の取り込みを強化するマツモトキヨシ

 
 マツモトキヨシの収益に大きく影響しているのが、海外からわが国を訪れる外国人旅行者などの存在だ。17年の訪日外客数は2869万人と、前年から19.3%増加した。その消費額は4.4兆円に上る。訪日外客数を地域別にみると、中国(含む香港)の割合が33%、韓国が25%、台湾が16%と、中韓台で訪日外客数の74%を占める。一言でいえば、中国を中心とする外国人観光客の消費が、マツモトキヨシの業績を支えている。それに伴い、内需に支えられたドラッグストアとしての特徴は弱まり、訪日客の需要=インバウンド需要への依存が高まっている。マツモトキヨシは外需依存型の企業に変化していると考える市場関係者も少なくはない。

 マツモトキヨシは免税店舗の増加や、店舗でのフリーWi-Fiサービスの提供、中国のクレジットカードである銀聯(ギンレン)カードの取り扱い開始など、中華圏からの旅行者を取り込む環境整備を進めてきた。すでに中国の代表的SNSである微信(ウィーチャット)を活用したクーポンの配信なども行っており、インバウンド需要の取り込みが強化されている。

 そうした取り組みが奏功して、マツモトキヨシのプライベートブランド化粧品は中国などからの旅行者にとって魅力的な土産物などとして認知されている。インバウンド需要の創造と取り込みのために同社は化粧品に特化した店舗運営も強化している。

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