これまで、飲食業は営業時間を延長する動きが主流だった。そして、1980年代後半からは24時間営業が当たり前のようになった。しかし、昨今の人手不足により、「24時間営業ありきの大量出店で売り上げを伸ばす戦略は、岐路に立っている。今後は、1店1店で丁寧に接客する飲食業が生き残るのではないか。実際、弊社ではその戦略が成功している」(外食チェーン店関係者)
飲食業界は人の流動性が高く、正社員だけでなくパート・アルバイトにも頼っている。九州を中心に展開するファミレスの「ジョイフル」は、18年4月から約1万7000人のパート・アルバイトを無期雇用するほか、パート・アルバイトの正社員登用も積極的に進めている。
また、ファミレスなどを展開する飲食業の関係者は、「『飲食はブラック』とのイメージを払拭することが大事。弊社では短時間正社員制度を検討中だが、働き方改革により『飲食業も働きやすい』と思ってもらえるように努めたい」と語る。
「人手不足により、飲食業はパート・アルバイトの待遇を競うことになるので大変でしょう。当然ですが、人材は待遇が良いほうに流れてしまうので、その確保は大きな課題です。そのため、大手など体力のある企業でないと経営が厳しくなっているわけです」(関氏)
生き残る飲食店の条件とは
東京商工リサーチの調査によると、17年の飲食業の休廃業・解散は685件で16年(724件)からは減っている。
「飲食業は個人事業で展開しているところも多く、すべてを把握するのは難しい。そのため、実態はもっと多いと思います」(同)
その理由について、関氏はこう分析する。
「まず後継者不足。また、業績が下がっていると借金してまで事業を継続しようとは思わない。『誰にも迷惑をかけないうちに店を閉めてしまおう』というわけです。飲食業は競争相手も多く、生き残っていくのは大変です。やはり、参入は容易ですが続けるのが難しいということでしょう」(同)
これまで、飲食業はさまざまなブームを巻き起こしてきた。ワッフル、ステーキ、パンケーキなどが流行する一方で、そのサイクルはめまぐるしく変化する。一時期は行列ができていた店も、いつの間にか閑古鳥が鳴いているといった事例は多い。
2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」を受賞した「インスタ映え」に代表されるように、「食べ物の写真をアップするために1回行けばいい」と思う若者も少なくない。
一方で、好調を維持して何十年も続く街の飲食店や外食チェーン店も少なくない。その差は、どこにあるのか。