「しかし、風営法改正や自治体の規制強化により、新たに4号営業ホテルの許可を得るのは基本的に不可能です。新規参入するオーナーは、法人売買などで既存のホテルを購入しなければなりません。そのため、オーナーチェンジした4号営業ホテルでは、法律の範囲内で大規模な改修を行うケースも見られます。今後、4号営業ホテルの数は減っても増えることはないでしょう」(同)
そこで、4号営業ホテルから「新法営業ホテル」に移行するラブホテルもあるという。
「新法営業ホテルとは、風営法の規定に該当しないレジャーホテルを指します。4号営業ホテルと違い、オープンフロントでスタッフが客の対応をするという大きな特徴があります。ほかにも、共有スペースにレストランがあるなど、一見すると一般ホテルと変わりなく、内外装もスタイリッシュなデザインが多い。
新法営業ホテルと一般ホテルの違いは、もはや客室にコンドームがあるかどうかだけです。近年では、新法営業ホテルが一般の宿泊施設予約サイトに掲載されるケースも出てきています。料金変動が激しく稼働率が高い一般ホテルの予約が難しい際やインバウンド需要を見込んでの対応策ですが、これも新しい流れです」(同)
予約サイト経由で予約が入った場合、新法営業ホテルのなかには、コンドームを部屋から外し、室内テレビでアダルトビデオが映らないようにするなどの対応を取る施設もあるという。もはや、何をもってラブホテルなのかの線引きも難しい状況だ。
新法営業を中心とした「進化型ホテル」には、若いカップルが多いという点も特徴だ。おしゃれでオープンな雰囲気がそうさせるのか、ロビーは常に若いカップルで賑わい、お互いを気にする素振りもないという。
また、4号ホテルと新法ホテルのいずれも進化型の施設が増加しており、業界ではラブホテルではなく「レジャーホテル」という呼び方も一般的となっている。
その様子は、多くのラブホテルを見てきた瀧澤氏でさえ「昔では考えられない光景」と驚きの表情を浮かべるほどだ。旧態型のホテルを尻目に、新法営業ホテルを中心とした進化型の施設は新しい客層の取り込みに成功しつつあるといえる。
「スイーツ食べ放題」のラブホテルも登場
今後、ラブホテルはどのような方向に向かうのか。瀧澤氏は「これまで通り、業界の十八番であるカップルをターゲットにしてリピーターを増やす方法が現実的な戦略ではないでしょうか」と語る。
しかし、前述したように昔ながらのラブホテルは衰退の一途をたどり、おしゃれ系のラブホテルにしてもすべてが成功しているとはいいがたい。そんななかで、ポイントとなるのは「徹底した利用者目線」、いわばより高い付加価値だという。