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歴史ある巨大ホテル、ホテルニューオータニの運営の裏側と、優秀なホテルマンの条件

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 しかも、皇太子とともに国からお付きの人が何十人も随行し、加えて多数の企業の方々も一緒に来日するわけです。皇太子の接伴員としての役目もこなしながら、営業担当としてそういう方々の宿泊手配などもすべてやりました。こうした経験は、ホテルニューオータニだからこそ体験できるお仕事かもしれません。

–今でも悔いが残るような失敗を経験されたことはありますか?

今井 記憶にも記録にも残る大失敗を2度しています。1つは、新入社員の頃、入社後に中国料理レストランで研修している時です。そのレストランには立派な超高級衝立がありました。ある時、お客さまをその衝立の近くの席にご案内し、いすを引いた時に、私の体でその衝立を倒して壊してしまいました。幸いお客さまにけがはなかったのですが、その衝立は二度と使えなくなってしまいました。

 実は、その超高級衝立は当時の料理長の私物だったのです。すぐに料理長に謝りに行ったところ、「一生懸命仕事をしている時に壊したわけだから」と許してもらえました。2つ目の失敗は、私の不注意で灰皿を割ってしまい、そのかけらでお客さまにけがをさせてしまいました。その時は、お客さまにものすごくお叱りを受けました。それ以来、「今井はモノには触るな」と言われていました。

–ホテルニューオータニの強みは何ですか?

今井 プールや日本庭園など、世代ごとに楽しめるものがいろいろあり、そういうものがまるで一つの街のように揃っているというのは強みではないかと思います。間もなく50周年を迎えるホテルニューオータニの特徴として、三世代が集まって一緒にご利用いただくお客さまの割合が非常に多いのです。若い人たちだけであればオープンしたばかりの設備が真新しいホテルを利用されるとしても、特にお正月やお盆、ゴールデンウイークの時期など、三世代のご家族が揃うときにはホテルニューオータニを利用しようという使い方をしてくださるお客さまが多いのが特徴です。私どもは、こういうご利用のされ方を重視しています。

 というのは、子どもの時にホテルニューオータニに来ておいしいものを食べ、楽しい時間を過ごした経験というのは継承されていくと考えているからです。実際ホテルニューオータニで働いているスタッフにも、「子どもの頃に両親に連れてきてもらってすごく楽しかったので、その時からホテルで働きたいと思っていた」と言うスタッフも多いです。

–ホテルマン、ホテルウーマンにとって、一番必要なスキルは何でしょうか?

今井 老舗旅館の女将のような“おもてなし”ができるのが、日本のホテルの強みだと思っています。つまり、単なるコミュニケーションではなくて、相手が口に出さなくても、この人はどう思っているのだろうか、今楽しんでいるだろうか、そういう相手の気持ちをいち早く読み取り、さらに的確に対応する能力が必要ですね。そしてそういうことをすることが喜びであり、楽しいと思える人でなければ難しいですね。ですので、例えばプライベートの飲み会でも、参加している人全員が楽しんでいるかという気配りができ、楽しんでもらいたいというような気遣いのできる人でないと、ホテルで働いていても楽しくないのではないかと思いますね。

 また、新しいホテルができると、勉強も兼ねてよくレストランへ食事に行きます。ホテルニューオータニとはまた違った良さを持っているホテルもありますし、新しいホテルは今のお客さまのニーズをしっかりと分析した上で開業しますので、他のホテルを利用することは、いろいろな面でとても参考になります。そういう日々の探究心も必要だと思います。

–ありがとうございました。
(構成=編集部)

BusinessJournal編集部

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