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巨額のれん代のリスク
さらに、もっとも重要な点として、巨額の「のれん代」の負担が大きくのしかかることが挙げられる。武田薬品はシャイアーの株価に6割のプレミアムを付けており、3兆円規模の「のれん代」が加わる。17年末時点の武田薬品の「のれん代」は1兆円ある。「のれん代」が武田薬品の自己資本を超える可能性を指摘する向きもある。
買収後、シャイアーの収益が悪化すれば、一気に「巨額の減損が発生する」リスクを常に抱えての船出となる。
今回の巨額買収について、「創業家の株式の希薄化を狙ったもの」という、うがった見方も台頭している。巨額増資によって創業家の持株比率を相対的に低下させる一石二鳥の狙いを秘めているというのだ。もし、そうだとすると、ウェバー社長の決断の背景を、既存の株主はきちんと精査しなければならない。
シャイアー株の6割をファンドが持っていることにも留意したい。こうしたファンドは運用対象を英国・欧州株に限定しているから、受け取った武田株を市場で売らざるを得ないとみられている。マーケット関係者は、買収のために発行する武田薬品株の“逆流”を「現実の脅威」と感じ始めている。だから、武田薬品株は下がり続けたのだ。
シャイアーはこれまで何度も買収が取り沙汰されてきた、「M&Aの世界では、言葉は悪いが“棚ざらし”になっている会社」(世界のM&Aに詳しい外資系証券会社のアナリスト)といった冷めた見方もある。買収金額を上積みしたことから「明らかに高値掴み」(別のアナリスト)との警戒感が強い。
武田薬品がこの巨額買収に失敗すれば、今度は武田薬品が買収される側に回る可能性が高い。
(文=編集部)
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