イオン系のウエルシアHDは、16年9月にイオン傘下のウエルシア薬局とCFSコーポレーションが合併して首位に躍り出た。18年2月期の連結売上高は6952億円で、2年連続首位を堅持。青森県の丸大サクラヰ薬局を17年9月に子会社にしたことから売り上げが拡大した。
2位はツルハHDで、18年5月期の連結売上高は6700億円の見込み。ウエルシアHDの背中が見えてきた。北海道からM&Aで南進中だ。17年9月に静岡の杏林堂薬局を子会社にしたほか、18年5月には愛知県のビー・アンド・ディーHDを子会社にした。
ツルハHDは石川県のクスリのアオキHDに出資。イオンはツルハとクスリのアオキの両方に出資しており、ウエルシアを含めてイオンのドラッグストア連合「ハピコム」を形成している。
3位はサンドラッグ。18年3月期の連結売上高は5642億円。首都圏でライバル関係にあるマツモトキヨシHDを抜いて3位に浮上した。業界屈指の効率経営を誇る。売上高営業利益率6.4%は業界トップだ。
5位は九州から東進中のコスモス薬品。18年5月期の連結売上高は5524億円を予想。M&A戦略は採らず、人口1万の小商圏に出店し、売り上げ規模でマツキヨに並んだ。
大手5社の売上高は5000億円以上。この下に2000~5000億円が7社ひしめき合う。これまでは大手による地方のドラッグストアのM&Aが中心だったが、これからは業界10位以内の大手同士の統合が本格化することになるとみられている。
M&Aでは、イオン系が一歩先行している。
食品スーパー、コンビニの領域に攻め込む
ドラッグストアは粗利益率の高い大衆医薬品や化粧品で収益を確保し、日用品などを安値で販売する手法で成長してきた。各社とも食品は成長分野とみて取り扱いを増やしている。
九州地盤のコスモス薬品は売り上げの55.9%が食品だ。生鮮三品以外の食品を扱う「フード&ドラッグ」と呼ばれる業態である。
トップのウエルシアHDは、コンビニの業務領域だった公共料金などを受け付ける収納代行サービスを全店で始める。おにぎりや弁当、総菜を販売する店舗もある。ドラッグストアは、食品スーパーやコンビニから顧客を奪って成長してきた。
株式市場のドラッグストア各社の評価はどうか。連休明けの5月11日の終値での時価総額のランキングは次のとおり。
1位はツルハHD(時価総額8018億円)、2位はサンドラッグ(同7482億円)、3位はウエルシアHD(同6194億円)、4位はマツモトキヨシHD(同5791億円)、5位はコスモス薬品(同5022億円)だった。
株式市場の評価はツルハHD、サンドラッグのほうがウエルシアHDより高いのだ。
(文=編集部)