米国の減税でソニーが大幅増益
家電系は、ソニーの決算がミニ・サプライズだった。
ソニーの18年3月期の純利益は、前期比6.7倍の4907億円。10年ぶりに過去最高を更新した。米ドナルド・トランプ政権の法人税減税による利益の押し上げがあり、従来予想を1300億円上回った。
エレクトロニクス業界ではBtoB(法人向け)強化が合言葉となっているが、ソニーはこの流れに乗れず、14年3月期1283億円、15年同期は1259億円と、2期連続の赤字に沈んだ。
経営資源を映像と音の技術に集中した結果、ゲームや音楽、映画などコンテンツ事業が伸びた。19年3月期は米減税という特殊要因がなくなるが、4月上場の米スポティファイ・テクノロジー株式の売却益を計上するため、純利益は4800億円と小幅な減益にとどまるとしている。
パナソニックの18年3月期の純利益は2360億円。純利益は過去最高だった08年3月期(2818億円)以来の高水準となった。
パナソニックは不振のプラズマテレビから撤退し、車載や住宅といったBtoB分野へシフトした。車載製品を手掛ける社内カンパニーが業績を牽引した。19年3月期の純利益は2500億円と増益を見込む。
ライバルのソニーの営業利益率が8.6%に対してパナソニックは4.8%と、大きな差がついている。電気自動車用のリチウムイオン電池がパナソニックの利益アップのカギを握る。
シャープの18年3月期の純利益は702億円。液晶テレビで一時代を築いたが、液晶パネルや太陽電池の不振で経営危機に陥った。台湾の鴻海精密工業が買収し、中小型液晶で巻き返しを図っている。
通信系の富士通の18年3月期の純利益は1693億円。19年3月は1100億円と大幅な減益になる。法人向けパソコンやネットワーク事業が不振だ。
NECの18年3月期の純利益は458億円。3000人リストラの最中だ。リストラ費用(400億円)の計上で19年3月期の純利益は250億円へと激減する。
株式時価総額(5月16日終値時点)で上記各社を見てみよう。1位がソニーの6兆6835億円、2位が日立の4兆1185億円、3位がパナソニックの3兆9162億円、4位が三菱電機の3兆5160億円で、以下、東芝1兆9366億円、シャープ1兆5946億円、富士通1兆3918億円、NEC7931億円と続く。上位の4社と、それ以下に大きな企業間格差があることがわかる。
(文=編集部)