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主力事業の撤退が相次ぐ
今年は、上場企業による事業の撤退・縮小の公表件数が過去最多のペースで進んでいる。ゴールドマン・サックス証券のまとめによると、上場企業の既存事業の撤退、縮小の発表件数は4月末時点で68件。年間140件だった17年の半分弱に4カ月で達し、これまで最高だった99年を上回る勢いだ。なかでも、シダックスのように、かつての主力だった事業から撤退する事例が目立つという。
カシオ計算機は5月、コンパクトデジタルカメラ事業から撤退すると発表した。デジカメは日本企業のお家芸であったが、スマートフォン(スマホ)のカメラ機能が高機能化した影響を大きく受けて、売り上げが激減した。18年3月期のカシオのデジカメ事業は、売上高が前期比34%減の123億円だった。最盛期の2000年代後半には1300億円の年間売り上げがあったが、10分の1以下に落ち込んだ。最終赤字は5億円から49億円に膨らんだ。
エーザイは3月、後発薬の子会社、エルメッドエーザイを日医工に売却すると発表した。19年4月までに3段階に分けて株式を譲渡する。エルメッドエーザイは高脂血症薬や降圧剤など約190品目の後発薬を扱い、17年3月期の売上高は280億円。1996年から続いてきた後発薬事業から撤退。認知症など新薬開発に注力する。
東レは2月、中国の青島即発集団股份有限公司と共同で手掛ける紡績・織物事業から撤退すると発表した。青島即発との合弁会社「東麗即発青島染織股份有限公司」の東レグループが持つ全株式(東レが60%、東麗<中国>投資有限公司が10%保有)を譲渡した。東レは紡績・織物事業の拠点を東南アジアにシフトする。
不採算事業に対する投資家の視線が厳しくなる一方だ。事業の組み替えの流れは、これから一段と強まる。
(文=編集部)
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