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一大不正融資発覚のスルガ銀行、岡野会長の報酬2億円…株主総会直後に公表、問われる倫理

文=編集部

スルガ銀行、岡野会長の再任賛成は71%に激減

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」向けの不正融資問題で揺れるスルガ銀行は6月28日、静岡県沼津市のプラサ ヴェルデで株主総会を開いた。

 株主総会の所要時間は、上場している銀行のなかで最長となる3時間15分。前年の5.7倍の406人(前年は71人)が出席。シェアハウスに関連した質問が20あった。質問の数でも銀行のなかでもっとも多かった。

 取締役11人を選任する第1号議案で、岡野光喜会長の再任に賛成したのは71.30%にとどまった。前年の総会の91.86%から20ポイント強低下した。

 スルガ銀行は岡野家の銀行だ。岡野会長は岡野家の5代目。大株主10社のうち、エス・ジー・インベストメントをはじめ岡野家のファミリー企業4社の持ち株比率は15.46%。好業績を背景に多数の安定株主を擁してきただけに、71%という極端に低い賛成率は、事実上の“不信任”を意味している。岡野家以外から初の社長に就いた米山明広氏の賛成率も71.74%だった。

 シェアハウス融資をめぐる投資トラブルで、融資の不正が発覚してから初めての総会。多額の借金にあえぐ物件所有者から「組織的な不正だ」などと怒号が飛び交う大荒れの展開となった。シェアハウスの所有者側は30年以上トップに君臨する岡野会長の経営責任を繰り返し追及した。

 岡野会長は第三者委員会の調査結果などを踏まえ、「経営陣として経営責任を厳しく取っていきたい」と陳謝した。岡野会長が問題発覚後、公の場に出たのは、これが初めてで、これまで記者会見にも出てこなかった。

 スルガ銀行は、シェアハウス融資が焦げ付くことから、18年3月期の連結決算の純利益を前年の426億円から210億円に引き下げた。さらに、中古のマンション・アパート融資などの焦げつきに備えて貸倒引当金を積み増し、最終的に純利益は69億円に激減した。銀行が一度、発表した決算を大幅に減額修正するのは極めて異例だ。

 金融庁の森信親長官が絶賛した、個人向け融資に特化した高収益モデルは、根底から揺らいだ。その森長官は7月末に退官する。

 森長官は、世界で一番早く、登録制を導入して仮想通貨交換業者の育成を打ち出したが、コインチェックの580億円消失事件が起きて、この試みは大失敗となった。スルガ銀行を「地銀の優等生」と高く評価したが、実態はノルマ至上主義の末、融資を審査する書類を改竄するなど「詐欺に近いスキーム」(大手地銀の首脳)だったことが明らかになった。森長官は晩節を汚した格好だ。

 今後、金融庁がスルガ銀行にどんな行政処分を科すかが焦点。名古屋経済圏の地方銀行再編が現実味を帯びている。

 1億円以上の役員報酬は岡野会長ら3人。株主総会後に提出された有価証券報告書で開示された。個人の役員報酬が総会で公表されていたら、役員報酬の返還を求められるなど大混乱に陥ったに違いない。

【役員報酬額】
岡野光喜(会長)…1億9700万円
岡野喜之助(元副社長、16年7月死去/退職慰労金)…5億6500万円
米山明広(社長)…1億6800万円

(文=編集部)

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