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これは、スズキがISG(モーター機能付発電機)とリチウムイオンバッテリーを搭載し、減速時のエネルギーを利用して発電、電気機器の利用やモーターによる走行を可能するエネチャージやSエネチャージ、マイルドハイブリッドと呼ばれる技術を横展開したことで、軽自動車のどのカテゴリーでもトップレベルの燃費性能を実現し、高い支持を得ているのだ。
好調なスズキの死角
だが、スズキは優れた燃費性能で高い評価を受けている一方で、心配な点もある。それは安全装備だ。軽自動車ナンバー1のホンダ「N-BOX」は、高速道路で追従走行が可能なアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を搭載している。この装備は現在のところ、軽自動車では「N-BOX」と、最近発売されたばかりの軽商用車「N-VAN」のみに装着されている。
スズキは登録車にACC搭載車はあるものの、軽自動車にはまだ搭載されていない。これはスズキが、軽自動車については価格の安さにプライオリティを置いていることが大きな影響を及ぼしている。実際、スズキを支持するユーザーの多くは、「アルトが47万円」の時代からスズキの軽自動車を乗り継いでいるため、安全装備が付くことによって価格が高くなると、ほかのメーカーに流れてしまう可能性が高いのだ。
しかし、こういったユーザーの意識を変えていかないことには、今後安全装備に関しては、ホンダや日産・三菱連合の後塵を拝することになりかねない。すでに価格が200万円を超える車種もあたりまえのように出てきている軽自動車は、ボディサイズやエンジン排気量に制限があるため、差別化が難しい。
そんな軽自動車市場を勝ち抜くためには、「ジムニー」のように優れたデザインと個性的な機能、そして安全装備は必須の条件となるはずだ。そう考えると、今後スズキもこの安全装備の拡充は避けることのできないポイントとなる。安さだけを求める既存のユーザーの意識改革――。これがスズキを左右するキーワードとなるだろう。
(文=萩原文博/自動車ライター)
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