消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
今年の10月以降、最低賃金は順次改定される予定で、時給800円以上の都道府県は昨年より13増えて28となった。人材確保のために賃金水準が他県に見劣りしないよう、各自治体も必死なのだ。しかし、人件費の高騰は店側にとっては負担となる。過重労働によって離れていく従業員と、高騰する人件費。そのツケを払うのは、店舗のオーナーや店長だ。
「最終的に、人手不足でもっとも不利益を被るのはフランチャイズ店のオーナーでしょう。最低賃金の上昇によって上がった人件費は大きな負担となり、本部にロイヤリティなどを支払った残りから捻出することになります。人件費の上昇は、人手不足の解消にはなったとしても、利益の減少につながるのです」(同)
業務の増大による人手不足とサービスの質の低下が客離れを招き、それを解消するための人件費上昇は店舗側の利益を圧迫する。そうした構図を前提にすれば、「ネットコンビニ」は従業員やフランチャイズオーナーにとっては、大きな負担としてのしかかる可能性があるといわざるを得ない。
そもそも「ネットコンビニ」の需要に疑問も
さらに、「そもそも『ネットコンビニ』の需要がどこまであるのかも疑問」だと今中氏は言う。
「アマゾンがある現状で、コンビニ価格の商品を手数料を支払ってまで届けてほしいという需要がどこまであるかは疑問ですね」(同)
ただ、現時点では北海道のみということもあり、「都市部よりはニーズがあるのかもしれない」(同)と予測する。
コンビニ市場が飽和状態にあるなかで、セブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスの2018年2月期の決算は、当期利益が前期比87.2%増の1811億円で4年ぶりに過去最高益を記録するなど絶好調だ。不調といわれ続けていたネットショップ「オムニ7」では、再生中の動画画面をフリック入力することで商品購入が可能な「フリックショッピング対応動画」の提供を開始するなど、EC事業には注力し続けている。
「ネットコンビニ」は、セブンと他社との差をさらに広げるのか、それとも従業員やオーナーが疲弊するだけで失敗に終わるのか。今後の展開に注目だ。
(文=藤野ゆり/清談社)
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