地方空港には政治的忖度が働く
地方空港の民営化の第1号は16年7月の仙台空港。宮城県外の企業が代表となっている4グループが入札に参加。東京急行電鉄や東急不動産など7社が設立した「仙台国際空港」が運営権を得た。
第2号は18年4月に民営化した高松空港。香川県を地盤とする企業などの地元連合や大手不動産会社など6グループが応札。三菱地所や大成建設が立ち上げた「高松空港」が運営することに決まった。だが、地場連合が敗れたことで、のちのち政治問題化する。
19年4月に民営化予定の福岡空港が3番手。5グループが応札し、1次審査を3グループが通過。九州電力や西日本鉄道と、三菱商事、シンガポールの空港運営会社チャンギ・エアポート・グループが手を結んだ「福岡エアポートホールディングス」が優先交渉権を得た。
福岡空港は、1次審査前にはオリックス・東急・三菱地所連合が最強と取り沙汰されたが、早々と落選。「政治決着が図られた」との声がある。
というのも、オリックスは関空・伊丹・神戸空港を手に入れている。東急は仙台、三菱地所は高松の運営権を獲得。3社ともすでに利権を得たと認定されたのかもしれない。
高松空港では四国のマンション分譲で首位の穴吹興産を中心とする地場連合が負けたため、「地方創生といいながら、地方をないがしろにしている」と強い反発が起きた。
そのため、福岡では「国は地方を大切にしている」ことを示さなければならなくなり、早い段階で「地場連合で決まり」と取り沙汰されていた。
20年4月に民営化する予定の熊本空港が4番手となる。三井不動産を核に九州産業交通ホールディングス、九州電力、テレビ熊本、再春館製薬所など九州連合がひとつになった。住友商事を中心とするグループや清水建設が束ねるグループが2次審査に進んでいる。熊本でも“地場連合”が優勢と伝えられている。
こうした過去の審査過程を精査すれば、北海道7空港民営化の委託先が、おぼろげに見えてくる。
新千歳の旅客ビルを50年以上運営してきたHKKを核とするグループが地の利を生かせるのか。「外資系は当て馬にすぎない。HKK企業連合で決まり」というのが関係者の見立てだ。
(文=編集部)