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ただほど高いものはない
富士フイルムHDの2019年3月期の連結決算(米国会計基準)の売上高は前期比3%増の2兆5100億円だったが、中間決算時点で2兆4700億円と、従来予想から400億円下方修正した。営業利益は同62%増の2000億円の予想を据え置いた。
大幅増益になるのは、事務機を手掛けるドキュメント事業の業績がV字回復すると踏んでいるからだ。ドキュメント事業の収益は、ほぼ富士ゼロックスの業績である。
富士フイルムHDでは、前期から大幅な人員削減を含む構造改革を実施中だ。18年3月期は国内を中心に3000人の人員を削減。割増退職金などの費用(700億円)が利益の圧迫要因になり、営業利益は84億円に激減。そのため、HDの営業利益は1233億円と前の期に比べて5%減った。
富士フイルムHDの19年3月期は構造改革費用等の一時費用が250億円に減ることから、ドキュメント事業の営業利益は前期比9.8倍の820億円にV字回復するとしている。
先進国を中心にペーパーレス化が進み事務機市場が縮小するなか、富士フイルムHDは2020年3月期までに、国内外で1万人の富士ゼロックス従業員を減らす計画だ。生き残りを賭けゼロックスの買収に打って出た。
だが、買収計画は強い反発を招き、半世紀以上続いてきた富士フイルムHDとゼロックスの提携関係が崩壊しかねない危機に瀕した。
古森氏がひねり出した「ただで買収する」計画が裏目に出たわけだ。ただより高いものはない――。古来の諺そのままの展開となった。
(文=編集部)
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