求人情報サイトや人材紹介、社員研修など人材総合サービスを提供するエン・ジャパンで、今年4月に育休から復帰し、企業の新卒採用を支援する事業部で営業として活躍されている入社8年目の森本愛さんに、日々の仕事やこれまでの仕事で印象に残っていること、最近の取組みなどについて聞いた。
–具体的にどういったお仕事をされているのですか?
森本愛さん(以下、森本) 当社が運営する学生向け就職情報サイト「[en]学生の就職情報」の営業として仕事をしています。「[en]学生の就職情報」は、力のある中堅・中小・ベンチャー企業に特化をしていますので、これらの企業に対し新卒採用の支援を行っています。
営業とはいえ、単に「[en]学生の就職情報」に掲載していただく企業を見つける、ということが仕事ではありません。まずは、企業の経営者や人事の方にお会いをして、現在の事業課題や組織課題、今後の展望をヒアリングし、必要な人物像を一緒に考えます。その上で、求める人財が採用できるような新卒採用の企画や採用プロセス、研修などを提案。その後、求人原稿を作成するための取材や、企業の採用活動がスタートしてからのフォロー、内定者研修や新人研修の講師などを行います。関わる業務が多岐にわたるのというのが、当社の営業職の特長です。
–お仕事の中で特に印象に残っていることはありますか?
森本 入社6年目のときに、初めて新卒採用を実施する企業の支援をした時です。その企業は、これまで中途採用しか行ってこなかったのですが、これから次のステージに向かうにあたり、会社の将来を担ってくれる人を採用したいと考え、新卒採用を実施することになりました。初めての新卒採用ということもあり、新卒採用のノウハウは全くありません。そこで、どういった学生を採用したらよいのかというターゲット設定や選考フローの構築、研修の内容やスケジュールなどを一から社長と一緒に考えていきました。どうすればこの企業にとって“良い新卒採用”ができるのかを考えて、企業に向き合ったことを評価され、社長から「森本さんに全部お任せします」と言ってもらえたときは、仕事のおもしろさを実感しました。
ただ、心残りだったのは、この企業の新卒入社1期生が入社した直後に私が産休に入らざるを得なくなってしまったこと。新卒採用は1年では完成しません。1年目の新卒採用を踏まえて、2年目はここを変えていこう、3年目はもっとこうしようと改善することで、その企業に合った“新卒採用の形”が確立していくものです。そこを一緒にできなかったというのは、残念というか、申し訳ない気持ちになりました。
–エン・ジャパンで営業をしていて、「これは良かったな」と思うときはどんな時でしょうか?
森本 良かったと思うのは、自分が提案する商品やサービスに自信を持てることです。私の知り合いの中にも、「自社の商品に自信を持てず、お勧めできない」「なぜこの仕事をやっているのかわからない」ということに悩んでいる方が何人もいました。私はそのように感じたことがなかったので、今の環境はとても恵まれていると思います。それは、エン・ジャパンの商品・サービスが当社の理念である「収益性」「独自性」「社会正義性」に沿って開発されているからだと感じます。
また、私の事業部では全員が「中堅・中小・ベンチャー企業の支援を通じて、日本を底上げしていこう」という想いを持っています。部署のみんなと同じ方向を向いて仕事が出来ている、ということも良かったと思う点です。
–担当している企業が「中堅・中小・ベンチャー企業」という事ですが、これらの企業に対して何か新しい取り組みはありますか?
森本 2つあります。
まず、今年から正式に「キャリアサポートセンター」というサービスを開始しました。
これは、エン・ジャパンが「[en]学生の就職情報」を通じて入社された方を、入社後3年間サポートするサービスです。
私の事業部のお客様の多くは、大手企業に比べると入社後のフォロー体制が十分でないケースが少なくないため、せっかく良い人財を採用できても、フォローしきれずに早期退職につながってしまうことがあります。そこで、当社の専任スタッフが随時悩み相談を受けられるようにしたり、定期的にアンケートなどを行ったり、メールマガジンを配信したりすることで、新入社員のサポートを行っています。
また、新入社員同士による懇親会なども行い、「同期入社が少ない」という悩みの解消に向けた取組みも実施しています。他社にいる同期の存在を知ることで「自分ももっと頑張らなければ」と刺激を受けている方も多いようです。
もうひとつは、今年の7月からスタートした「[en]体感就職」です。これは「百聞は一見にしかず」をコンセプトにした、採用直結型のインターンシップサイトです。
まず、学生には、エン・ジャパンが主催する「体感就職準備セミナー」に参加してもらいます。ここで実施する適性診断の結果に基づいて、エン・ジャパンが学生に合う会社タイプのアドバイスを行い、自分に合った企業の体験入社に参加して頂きます。
企業は体験入社を受け入れ、その後の面談で実際に採用するかどうかの判断を行います。
このサービスの特長は、選考プロセスが「体験入社+面談」のみになるので、企業の採用活動期間を大幅に短縮できることです。また、採用活動期間が短期間になっても、当社がこれまで培ってきた適性診断のノウハウを学生・企業双方に用いることで、高いフィッティングが実現でき、早期離職を防ぐことが可能になります。
–エン・ジャパンでは、女性の活躍に力を入れていると聞きますが、具体的にはどういった取組みをしているのでしょうか?
森本 当社では、「WOMenらぼ」という「世界で一番女性が活躍する会社にする」ことを目指すプロジェクトを推進しています。私もこのプロジェクトの一員です。具体的な取組みとしては、リーダー職に就いたばかりの女性社員を、管理職経験豊富な女性社員がサポートする「メンター制度」や育休中の女性社員を集めた「情報交換会」、ブログでの情報発信などを行っています。また、先日は子育て中の女性社員を集めた「ママランチ会」も開催されました。事業部や拠点を越えて様々な話ができて楽しかったです。
–エン・ジャパンは森本さんのように育児休暇を取得し、職場復帰をされている方は多いのですか?
森本 ここ最近、特に増えています。私が所属している事業部にも、育休から復帰し時短勤務をしている女性社員が4名、育休中の女性社員が3名います。
私は、今年の4月末に復帰をして、現在は9時から16時までの時短業務をしています。フルタイムで働いていた時に比べ、時間が限られているので、効率的に仕事を進めることを考えるようになりました。また、私と同じチームで働いているのは全員が育休から復帰した女性社員。お互いの状況を理解しているので、サポートし合いながら仕事ができています。
–最後に、今後のビジョンを教えてください。
森本 これまで出産後に営業職として復帰をするという女性社員はあまりいませんでした。ただ、後輩の女性社員と話していても、営業の仕事が好きで、結婚や出産をしても続けていきたいという声もよく聞くので、私がモデルケースになれたらいいな、と思っています。
(文=風間立信/表参道総合研究所)