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なぜクリーニング店は激減しているのか?「クリーニングに服を出す」という習慣の消失

文=島野美穂/清談社
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クリーニング業界が狙う“チャンス”とは

 アパレル業界の市場規模は年々縮小しているが、インターネット通販などのECに限れば右肩上がりとなっている。百貨店などのリアル店舗に行かなくなった人たちは、服を買うことをやめたわけではなく、単純に買う場所をオンラインに移しただけというケースも多い。

「アパレル業界と連動していることからも、これからの時代はクリーニング業界もIT化を進めていく必要があるわけです。ECサイトで服が売れているのであれば、クリーニング業界のチャンスもそこにあります」(同)

 そこで、近年注目されているのが宅配ネットクリーニングサービスだ。客はネット上で申し込み、クリーニングしたい衣類などを店舗に送る。仕上がった衣類は指定した日に自宅に届くという仕組みだ。わざわざ店舗まで足を運ぶ必要がないため、忙しい現代人にはもってこいのサービスといえる。

 喜久屋は業界内でいち早くオンラインサービスを導入し、ネットで注文できる宅配クリーニング&無料保管サービス「リアクア」を開始している。

「衣類を洗って返すだけでは『モノ』のサービスでしかありません。でも、『クリーニングをして、さらに収納保管までします』とサービスの幅を広げると、お客様には、そのぶん部屋を広く有効に使えるという『コト』のメリットが生まれます。こうした価値観の変化が、これからのクリーニング業界には必要だと感じています」(同)

 喜久屋は国内だけでなく海外にも積極的に進出しており、13年にはタイ・バンコクで現地法人「キクヤタイランド」を設立している。

「経済的発展の目覚ましいタイでは、アパレル産業も非常にさかんです。つまり、これからクリーニング需要が伸びていく国ということです。日本のクリーニング技術が海外でも受け入れられる可能性は高いと思っています」(同)

 業界内でも革新的なサービスを展開する喜久屋だが、中畠氏に言わせれば「クリーニング業界のイノベーションは、まだまだ始まったばかり」だという。

「クリーニング業界が衰退しているというのは、ある意味では正解です。ただし、見方を変えれば、業績を上げるための工夫がまだまだ足りていないだけ。そう考えると、非常に伸びしろがある業界といえます」(同)

 イノベーションの余地もビジネスチャンスもたくさん眠っているクリーニング業界。新たなサービスが登場すれば、かつてのような活気が戻ってくるかもしれない。
(文=島野美穂/清談社)

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