なりふり構わぬ商品の安売り
商品の切り売りも続いている。貸借対照表内の「商品」は、14年12月末の段階では150億円あったが、今年9月末には106億円まで減った。親子ゲンカの騒動をもじった「お詫びセール」をはじめとしたセール乱発により商品が減っているのだ。もっとも、商品が減ることは必ずしも悪いことではない。売れない在庫ばかりが残っていれば、品ぞろえの質が低下し、さらなる販売不振につながるという悪循環に陥る。売れない商品は無理をしてでも減らす必要があることもある。
たとえば、大塚家具は在庫を減らすため、9月下旬から「在庫一掃セール」を全国12店舗で始めた。最大8割引きとなるセールで、11月25日まで実施する。ホームページでは、75万8000円のソファを15万1000円にするなど高い割引率での販売を前面に打ち出している。過剰在庫を減らすほか、現金などを確保して当座の運転資金に充てる狙いもありそうだ。
だが、これは諸刃の剣でもある。このような安売りは、ブランドイメージの悪化につながりかねない。同社は、「低価格路線へのシフト」という誤解が生まれたことが不振の原因のひとつと考えているようだが、こういったセールを乱発していては、そのような解釈が生まれるのは当然だろう。8割引きという大幅な値引きを見せられたら、低価格路線へシフトしたと考えるのが普通の感覚ではないか。これによりブランドイメージが悪化するのは当然のことといえる。
もっとも、ここまでくればブランドイメージがどうとも言っていられないのかもしれない。セール開始時の9月まで店舗売上高が14カ月連続で前年を下回っており、投げ売りしてでも、まずは売り上げを回復させなければどうにもならない状況だったともいえるためだ。セールを実施したため、10月は前年同月比7.7%増という大幅な増収を達成しており、連続減収を食い止めたことには一定の評価があってもいいのかもしれない。
とはいえ、明確な成長戦略が描けなければ、資産の切り売りだけではどうにもならないだろう。ジリ貧になるだけだ。一方で、大塚家具は身売り先を探しているとも報じられており、外部の手を借りて再建を図る考えもあるようだ。提携先で貸会議室大手のTKPやディスカウントストアのドン・キホーテ、投資ファンド、商社などと交渉したと報じられている。しかし、久美子氏が社長続投にこだわっていることが交渉を難航させているという。