ストリーム事件の余波が摘発から1年を経た今も続いている。同社をめぐっては相場操縦が行われた時期に提出した有価証券届出書の虚偽記載が一昨年11月上旬に判明、12月18日付で当局から課徴金納付命令の勧告が出されるに至っている。じつは事件で蠢いた人脈や金脈はユニバーサルエンターテインメントの創業者追放劇と関わりがある。今後本格化する事件の公判でその一端が明らかになるかどうかも隠れた焦点だ。
今回、虚偽記載が判明したのは2014年1月14日付で関東財務局に対し提出された有価証券届出書。新株(3億円)と新株予約権(最大調達額3億円)の発行に関するもので、当初の記載によれば、割当先は「リシェン・(H.K.)・テクノロジー・ホールディングス」なる香港企業とされた。払込日は1月30日だった。
しかし、昨年秋になり虚偽記載の疑いが外部から指摘されることとなる。それを受け、ストリームは外部弁護士による調査委員会を設置して事態の把握を進めた。そして、同年12月19日付でその中間報告書が公表された。
それによれば、新株の割当先は実質的にはストリームの劉海涛元社長(17年4月辞任)で、リシェン社はダミーにすぎなかったという。劉元社長とリシェン社代表との間では水面下で中国語による「投資協議書」なるものが払込日の5日前に中国・上海において交わされていた。それとは別に、リシェン社が新株の25%を劉元社長から買い取ることができるとする協定案もあったという。いずれにせよ、新株の処分などはすべて劉元社長が実権を握っていた。
仕手筋による最初の相場操縦はこの増資が行われた2週間後に始まっている。2月13~20日にかけてのことだ。さらに5月22~28日、6月25~27日、7月17~24日にかけても相場操縦は敢行された。この間、410円だった株価は1510円にまで急騰している。
公判の見所
これまでの公判で検察側が明らかにしたところによると、劉元社長は仕手筋の佐戸康高被告に多額の借金を負っていた。相場操縦はストリーム株の高値売り抜けによってそれを清算するため、劉元社長と佐戸被告の発案で行われたとされる。佐戸被告は仕手筋の上田実氏(16年12月死亡)らを介して笹尾明孝、高橋利典両被告ら実行役を集め、ストリーム株を吊り上げていった。劉元社長は相場操縦のタネ玉として大量のストリーム株を佐戸被告側に貸株として提供していた。佐戸被告は実行役に必要資金の一部を供給した。