「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/10年3月27日号)の記事『勢いに乗る婚活サイト“すれ違う”結婚相談所』によると、ネットの婚活サイト最大手「エキサイト恋愛結婚」の会員数が2万9301名、結婚相談所最大手「オーネット」の会員数は4万8598名だ。その後、東日本大震災を経て「無縁社会」が叫ばれるようになり、より一層「結婚したい」という声が大きくなっているように感じるが、大手の婚活支援サイトや結婚相談所の登録者数に変動はあるのだろうか。
●大手3社の動向
現在、「エキサイト恋愛結婚」の会員数は2万7859名(13年7月18日時点)、「オーネット」の会員数は3万9037名(13年1月時点)。大手結婚相談所「ツヴァイ」も10年の3万9000人から3万6320名(12年2月時点)と会員数を減らしている。
この変動について、各社に話を聞いてみた。
(1)エキサイト恋愛結婚
「婚活を頑張られた結果、結婚によって退会する方が多いですね。単純に会員数が増えるだけが、私どものビジネスの性質上いいとは限らないんです。累計の入会者数は19万8886名になっています」
(2)オーネット
「08年からサービスの見直しでプランを変えたため、それが原因で減少したと考えています。12年には1万8929名の入会者がありましたが、4026人もの方が成婚されて退会しています」
いずれも、成婚による退会数へ言及しており、「ツヴァイ」の第29期有価証券報告書によると、「対処すべき課題」として「成婚退会率の向上」が挙げられている。つまり、婚活をあきらめて退会するのではなく、結婚してやめる人が増えてほしい、と考えているということだ。結婚相談所は会員が純増し続ければよいのではなく、より多く入会してもらい、より多く結婚・退会してもらうことが大事ということだ。
●独自サービスを打ち出す結婚相談所も
一方、ネット婚活サイトや結婚相談所が多数の会員を集めようとする中、独自の広報戦略でターゲットを絞って会員を集める結婚相談所がある。
例えば「ブライダル」では、新聞広告のほかに有名大学の卒業生向けの同窓会誌に広告を出し、これらの大学の卒業生には登録料50%オフなどの優遇策を打ち出している。同社の営業戦略を聞いたところ、「男性の方については、大卒以上の方に入会してもらいたいと考えています。そのため、広告を同窓会誌などに出しているのです。あらかじめターゲットを絞りこむことで“質”に強みを持つことを目的としています」と、明確な返答が返ってきた。
厚生労働省の発表によれば、11年の平均初婚年齢は男性30.7歳、女性29.0歳であり、東京都では、男性31.9歳、女性30.1歳。都会ではより一層晩婚化が進んでいるのだ。婚活サイトや相談所の登録者数が減っているからといって、実生活での出会いが増えているという単純な話ではない。
晩婚化が進む現在、婚活ビジネスはより興隆する可能性は高い。各社が今以上に力を尽くし婚活ビジネスを発展させれば、より多くの人々が家族という未来を思い描けるようになるかもしれない。
(文=小林拓矢)