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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ユニクロや無印良品は海外展開に成功できたのに、他の小売業はできない“当然の理由”

(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

海外市場における日本のPBの可能性

 筆者はフィリピンで現地の大手スポーツ用品小売業者から「日本の大手スポーツ用品小売業者との戦略的提携を検討したい」という相談を受けたことがある。彼らの当初の目的は、日本の進んだ小売技術を学びたい、また日本のスポーツメーカーとの関係性構築に関する協力を得たいということであったが、「日本の大手スポーツ用品小売業者のなかにはPBを積極的に展開している企業があるため、これらの商品を輸入・販売してはどうか」と提案したところ、強い関心を寄せていた。

 多くの海外市場同様、フィリピンにおける日本ブランドの人気および信頼は極めて高い。もちろん、「メイド・イン・ジャパン」ならばなおのことであるが、他国で生産されていても日本企業が責任を持って管理している商品ということならば、多くの消費者から支持を得ることが可能だろう。さらに、日本と比較すれば低所得である多くの東南アジアの消費者にとって、PBの低価格は日本の消費者以上に魅力となる。

大手小売業者:製造業者として国際市場へ挑戦

 近年、多くの日本の大手小売業者はPBに注力している。しかしながら、機能をはじめ商品力には問題ないものの、ブランド力のなさなどにより、国内市場において販売が好調に推移していない事例も多く見受けられる。こうしたなか、今後さらなる拡大が期待できる東南アジアなどの海外市場への進出は、多くの小売業者にとって魅力的に映ることだろう。だが、先に述べた通り、小売国際化には多くの問題が存在している。

 こうしたポイントを考慮すれば、海外市場において日本ブランドをうまく活用し、現地の小売業者にPBを販売する製造業者になるという戦略は、自らが店舗を展開する小売業態と比較して、低リスクかつ大きな成長が期待できる魅力的な戦略となるかもしれない。
(文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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