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経営危機の背景には2つの要因がある。まず、デサントは自社ブランドではなく、海外大手ブランドの商標権を手に入れることで収益を得てきた。加えて、デサントは国内事業を重視してきた。このビジネスモデルを改革するために、伊藤忠出身経営者のもとでデサントは海外進出を進めた。特に、韓国では現地企画商品がヒットした。デサントの売上高の50%近くが韓国から獲得されている。
2013年、デサントの経営は大きな転換点を迎えた。経営トップが伊藤忠出身の人物から、創業家に替わった。会長職には伊藤忠出身の人物が就いたが、代表権は与えられなかった。これは、デサントが伊藤忠との連携よりも、独自路線を目指し始めたことを明確にした。それ以降、デサントは韓国で収益を稼ぎつつ、商品開発と海外進出を進めて収益源の分散を図ろうとしてきた。「水沢ダウン」の登場は、その一つだ。デサントはこれに次ぐヒットを生み出し、自社の企画力で成長を遂げたいという思いを強めている。
ここへ来て深まる両社の対立
現時点まで、両社は主張の食い違いを埋めることができていない。伊藤忠はなんとかしてデサントとの関係を維持しようと、対話よりも、資本の論理を重視した。それが、「伊藤忠がデサントに対してかなり高圧的に言うことを聞くように求めている」といった報道につながっている。確かに、その側面はある。
同時に、感情を排して事実を確認し、なぜここまで対立が深刻化したかを確認することが重要だ。まず、伊藤忠はデサントの筆頭株主だ。過去の経緯を踏まえると、デサントは伊藤忠のバックアップがあったからこそ、ここまで成長してきた。これまで伊藤忠が資本だけでなく人を送り込んできたことは見逃せない。
デサントの経営が傾けば、筆頭株主として経営に影響を与えてきた伊藤忠の手腕にもクエスチョンマークがつくだろう。伊藤忠はデサントの経営に責任がある。にもかかわらず、デサントは、恩人である伊藤忠のアドバイスに耳を傾けようとはしてこなかったように見える。伊藤忠にとってデサントの姿勢は身勝手と映っただろう。こう考えると、伊藤忠がデサントに不満を募らせてきたのには、それなりの理由がある。
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