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外食日本一だった小僧寿し、債務超過で経営危機…揺らぐ「持ち帰りすし」の存在意義

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 一方で、回転ずしチェーンはテイクアウトも強化するようになり、小僧寿しと真っ向からぶつかるケースが増えていった。たとえば、回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトはテイクアウトを強化した結果、08年2月期(9カ月決算)のテイクアウト比率は9.2%にまで高まり、テイクアウトで約46億円を売り上げている。このように回転ずし各社がテイクアウトを強化したため、小僧寿しは窮地に追いやられた。

 住宅地立地で商圏が重複しやすい回転ずしチェーンとの競争が激化したことは、小僧寿しにとっては誤算だった。これは、同業の「京樽」や「ちよだ鮨」とは異なる。京樽やちよだ鮨は住宅地よりも駅前やショッピングセンターに活路を見いだしたため、小僧寿しほど苦戦を強いられていない。また、京樽はほかに回転ずし店「海鮮三崎港」などを展開し、ちよだ鮨は回転ずし店「築地銀一丁」「築地銀一貫」や立ち食いずし店「築地すし兆」などを展開しているため、持ち帰りすし店の不振を他業態で補えている。そのため、ほぼ持ち帰りすし店でやってきた小僧寿しよりも、苦戦の度合いを低く抑えることができているのだ。

スーパーやコンビニとの競合

 スーパーとの競争激化も響いた。スーパーは買い物のついでにすしを買ってもらえるという点で小僧寿しより有利だ。また、スーパーは鮮魚を扱い、売り場に隣接する調理場ですしを製造して提供しているところが大半のため、「スーパーのすしは新鮮でおいしい」というイメージが強くあることも特長だ。こういったことがあり、小僧寿しはスーパーにも顧客を相当奪われただろう。

 コンビニエンスストアですしが充実するようになったことも大きい。一部のコンビニでは、10年代に入ってから握りずしが充実するようになった。たとえば、コンビニ大手のファミリーマートは低温度でもおいしく食べられる酢飯を開発したことで、それまで使用が難しかったマグロなどの海鮮ネタを新たに使えるようになり、握りずしの品ぞろえを充実させることに成功している。11年には握りずしの盛り合わせやちらしずしを「チルド寿司」として売り出している。

 ローソンは12年に原材料や製法を見直して新たに「チルド寿司」を展開し、握りずしの強化を図っている。他方、最大手のセブン-イレブンは、手巻きずしは扱うものの、握りずしに関してはこれまで扱いが確認できない。巷では「高い鮮度を保つ技術が確立できていないので、セブンは握りずしを販売することができていない」という声が上がっている。真相はわからないが、いずれにせよ、最大手のセブンが握りずしを販売していないことは小僧寿しに幸いしたといえる。だが、ファミマとローソンだけでも数万店の規模で、鮮度や品ぞろえは小僧寿しにかなわないにしても、コンビニには手軽に利用できるという大きな武器があり、小僧寿しにとって大きな脅威といえるだろう。

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