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“無用の長物化”する旅行代理店、生き残りかけ開拓する“最後の砦”

文=小川裕夫/フリーランスライター
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中南米は代理店の優位性を発揮できる

 コミュニケーションが取れないことは、旅行に行く心理的なハードルを上げるだろう。しかし、中南米にはガラパゴス諸島、マチュピチュ、イグアスの滝、ウユニ塩湖、ナスカの地上絵といった超メジャー級の観光名所が山のようにある。それだけに日本人の間でも「中南米を旅行したい」という憧れは強い。

 従来、日本では中南米旅行への興味・関心は高くなかった。潮目が変わるのは、2014年のワールドカップブラジル大会と16年のリオデジャネイロ五輪が開催されたことだ。

「両大会を通じて南米への距離感は明らかに縮まったと感じます。以前なら、中南米はメキシコのリゾート地・カンクンぐらいしか売れませんでしたが、最近は中南米各地の旅行のリクエストは確実に存在します」(前出・旅行代理店社員)

 しかし、中南米旅行は言語のほかにも、個人手配では越えづらいハードルがある。それが、治安の問題だ。ワールドカップ・五輪両大会ともに、開催前はテレビなどでも治安を不安視する報道はたくさんあった。

「比較的、治安がいいとされる中南米の都市でも、犯罪多発エリアは局地的に点在しています。同じ都市でも、区画が変わるだけで危険度が一気に増すことはザラです。そうした安全・危険を個人で把握するのは難しいでしょう。現地の事情に詳しくないと、危険な目に遭遇する確率は高まります。個人手配だと、そうした治安の悪いエリアを判別できませんから、治安の悪い地域のど真ん中にあるホテルを予約してしまうなんてケースもあります。しかし、旅行代理店はそうした情報には特に気を配っていますから、リスクを低減できるのです」(同)

 まだまだ中南米の個人旅行手配はハードルが高い。そうした事情から、旅行代理店にとって中南米は代理店の優位性を発揮できる。旅行代理店にとって、中南米はブルーオーシャンであり、業界の救世主でもある。近々、日本で中南米旅行ブームが到来するかもしれない。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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