事業別の売上高では、ほっともっと事業が前期比4.2%増の1100億円、やよい軒事業の売上高は6.3%増の311億円だった。どちらの事業も売上高は好調だったといえる。だが、営業損益はそれぞれ苦戦した。特にほっともっと事業が苦戦を強いられ、8億円の営業損失(前期は39億円の黒字)の計上を余儀なくされている。また、店舗の減損損失19億円を計上した。やよい軒事業の営業利益は前期比11.4%減の12億円だった。ほっともっと事業ほど悪くはないが、それでも大幅減益だ。
プレナスは両事業の営業損益が悪化した理由に、それぞれで仕入れコストが上昇したことを挙げている。具体的な食材を挙げていないが、特にコメの仕入れ価格の上昇が大きく影響したとみられる。同社は18年2月期の決算説明会において、コメの仕入れ価格の高騰により、19年2月期の利益が低下すると予想していたためだ。
民間取引のコメ相場は18年産米まで4年連続で上昇している。長らく続いた生産調整(減反)は昨年から廃止されたが、増産の動きが限定的で、価格の上昇が続いた格好だ。一方で人口減少などを背景に需要の減少が見込まれる。生産抑制が進めば米価が高止まりする可能性もある。
プレナスのごはんは高品質がウリ
当たり前だが、弁当や定食にはごはんが欠かせない。プレナスでは、傘下の弁当店や定食店などで年間4万トンものコメを使用している。これは日本におけるコメの生産量のおよそ0.5%に相当する。このようにプレナスでは、ごはんが重要な役割を果たしている。そのことを示しているのか、主力の持ち帰り弁当店「ほっともっと」のロゴには米粒が描かれている。
プレナスはコメの品質にもこだわっている。コシヒカリやあきたこまちなど、「種子証明書」で銘柄が確認された種や、苗から育てられた質の高いコメを仕入れている。100%国産米だ。精米は自社工場で行っており、特殊な精米技術で玄米からぬか層だけを取り除いた「金芽米(きんめまい)」をつくり出している。金芽米は一般的に白米より栄養価が高く、それでいておいしいといわれている。金芽米のごはんは、競合店ではあまり見られず、プレナスは差別化されたごはんを提供することができている。
プレナスはごはんの品質の高さを売りとする一方、価格の安さやコスパの高さも売りとしている。たとえば、ほっともっとで「のり弁当」を300円で販売するなどコスパが高い弁当を販売することで知られている。やよい軒は定食メニューの中心価格帯が700円台とお手頃価格だ。そしてごはんのおかわり無料がお得感を増している。やよい軒も高いコスパが人気となっている。