どちらと組んでも業界首位に躍り出る
こうした状況下で、マツキヨHDとスギHDがココカラ争奪戦を繰り広げているわけだが、ココカラとマツキヨHDの売上高を単純合算すると9765億円、ココカラとスギHDとでは8890億円となり、どちらも首位のウエルシアHD(7791億円)を超える規模となる。さらに、単純合算の店舗数はココカラ・マツキヨHDが約3000店、ココカラ・スギHDが約2500店で、こちらも約1900店のウエルシアHDを抜くことになる。どちらの連合体が誕生するのかわからないが、いずれにしても巨大な連合体を形成することで、当該企業はスケールメリットを生かした施策を打ち出すことができるようになるだろう。
まず考えられるのが、プライベートブランド(PB)商品の強化・共通化だ。PB商品を強化することで品ぞろえの面で他チェーンとの違いが打ち出せるほか、一般的にPB商品は利益率が高いため、より多くの利益が見込めるようになる。PB商品を充実させるには規模の拡大が欠かせない。
規模を誘因に有力メーカーを商品開発に引き込めるためだ。PB商品を共通化することができれば、より大きな収益が得られるようになるだろう。仮に共通化できなくとも、それぞれのノウハウを持ち寄ることでPB商品を強化することはできる。
PB商品に関しては、特にマツキヨHDが強い。たとえば、同社のPBのオーガニックコスメブランド「アルジェラン」はどれも高額だが、累計1000万個以上を販売する人気シリーズとなっている。
同社のPB商品は高い評価を得ており、ブランドコンサルティング会社、米インターブランドのブランディング活動を評価する賞「Japan Branding Awards 2018」において、特に優れた取り組みを行った企業としてマツキヨHDが表彰されたほどだ。
マツキヨHDとココカラが組むとすれば、マツキヨHDのPB商品をココカラでも販売するといったことが可能となる。このように2社でPB商品を共通化すれば、スケールメリットを生かすことなどで両社とも収益の向上が見込める。スギHDとココカラがPB商品の共通化をする場合でも同様のメリットを享受できるだろう。共通化が理想形だろうが、それぞれのノウハウを持ち寄ってPB商品を共同開発するといったことでもメリットを享受することができそうだ。