爆発事故で10億円の特別損失
APAMANの19年9月期第2四半期(18年10月~19年3月)の連結決算は、爆発事故が業績を直撃した。
売上高は前年同期比13.0%増の234億円。営業利益は同17.9%減の8億2300万円。最終損益は7億7100万円の赤字。爆発事故に関連し、被害者への賠償金や建物復旧にかかる費用10億円を特別損失に計上したことが響いた。最終損益は18年3月期も4億4100万円の赤字だったため、2期連続の赤字に陥った。
一方で、総額3億1000万円の保険に加入していたことが幸いした。被害者への賠償は保険の対象となることを保険会社で確認しており、保険会社から入金のあった2億7400万円を特別利益として計上した。
爆発事故の影響は、主力の賃貸・管理部門に強く出た。18年9月期(通期)の賃貸管理戸数は、前年より1万8740戸増えて9万198戸。10万戸の大台に王手をかけた。ところが、爆発事故後の19年3月中間期の管理戸数は8万7516戸。半年で2682戸(3%)減った。APAMANに物件の管理を頼むことをやめたオーナーが続出したのだ。
賃貸・管理部門の中間期の売上高は187億円、営業利益は12億円。全社の売上高の8割、他部門の赤字を補?した上で、全社の営業利益を叩き出したことになる。文字通り大黒柱だ。その管理戸数の減少は、経営にボディーブローのように効いてくるとみられる。
除菌消臭サービスが収益源
賃貸物件を扱う不動産仲介業者の最大の収益源は、仲介手数料だ。仲介手数料は宅建業法で「最大で家賃の1カ月分」と決められている。空き家の増加に伴い、利便性の高い都心部を除いて家賃の相場は下落傾向にある。付帯サービスで収益を上げざるを得なくなった。
保険、保証、緊急駆け付け、電気・ガス、送金・振込、通信、鍵交換のほかに、簡易消火剤、除菌消臭剤、NHK・CATV加入取り次ぎなどが主な付帯サービスとなっている。
19年3月中間期の付帯サービスでの粗利は9億8600万円。管理戸数(8万7516戸)の1戸当たりの付帯サービスの粗利は1万1266円、年間に換算すると2万2000円の水準になる。全社の粗利(57億6100万円)の17%を占める。付帯サービスが経営を下支えする“ドル箱”という構図なのだ。