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ヤフー、なぜ減益必至でもEC無料化?狙いは劣勢挽回と楽天出店者の奪取

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●“孫氏の兵法”は価格破壊にあり

 “孫氏の兵法”の神髄は、徹底した価格破壊にある。一気に市場を制圧するために、どこよりも安い価格でサービスを提供するのである。01年9月、ヤフーが高速で低価格のADSL(非対称デジタル加入者線)サービス「Yahoo!BB」を開始した時、圧倒的なシェアを確保するために無料モデムを配った。「2カ月間無料です。持っていってください」。若いスタッフが駅頭で通行人に声をかける光景がおなじみになった。モデムの無料配布で「Yahoo!BB」の会員数は猛スピードで増え、05年3月末にはNTT東日本を抑えて業界トップに立った。

 06年10月、ソフトバンクモバイルとして携帯電話事業に新規参入した際の武器も価格破壊だった。新料金プラン「ホワイトプラン」は月額基本料金を980円という破格の低価格に設定した。スマートフォン「iPhone 3G」を発売した時も、孫会長は“ゼロ円商法”を打ち出し、ソフトバンクの独り勝ちをもたらした。

 思い切った低い価格を設定してシェアを奪うことに力を注ぐ戦略は、孫会長が最も得意とするところである。ネット通販サイトの出店料金とロイヤルティーの完全無料化。これでネット通販の世界にも価格破壊の嵐を巻き起こす。ここでも圧倒的なシェアを握れば、赤字はすぐに取り戻せる。

 ADSL、携帯電話に続いてネット通販でも“孫氏の兵法”は勝利を収めるのだろうか? 挑戦状を叩きつけられた楽天の三木谷社長は「影響はまったくない。動揺もない。新規出店・退店など数字面でも影響はない。今、楽天は絶好調ですから」と語る。今のところ静観の構えだが、“孫氏の兵法”はこれまで成功を収めてきている。果たしてヤフーと楽天の戦いは、どちらに軍配が上がるのか? 今後の動向に注目が集まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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