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ウーバーイーツで残飯が届く、配達員の報酬低下で1回300円、計算式は非公開

文=Business Journal編集部
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Uber EatsのHPより

 ウーバーイーツで料理を注文したところ、食べるとお腹を壊しそうな残飯のようなものが届いたというTwitter投稿が話題を呼んでいる。一方で、ここ数年の複数回におよぶ配達料金の見直しで配達員が受け取る報酬が引き下げられつつあるという声もあり、日本でのサービス開始から7年が経過した今、改めて運営側の課題が浮き彫りになりつつあるようだ。

 あるTwitter利用者は今月、

「ウーバーイーツしたら、写真と全然違う、残飯みたいなの届いた」

「食べたらお腹壊しそうなレベルだったの」

とツイート。これに対し、

「私もそういう写真と全然違うところに当たったことがある」

「こういう事があるからUber Eatsは怖い」

「たまにありますよね」

「自分もウーバーイーツ注文して、画像と全く違い、量も少ない料理を見たことがあります」

など、同様の体験があるという反応が多数寄せられている。

 Uber Eatsをめぐっては、以前から「メニュー写真とまったく違う料理が届いた」「容器の中身の料理がぐちゃぐちゃになっていた」という声はよく聞かれるが、このような事態に遭遇した場合、注文者はUber Eatsアプリ上の問い合わせフォームより連絡し、返金などの対応を受けるかたちになる。

Uber Eats配達員の報酬体系の実態

 原因が、飲食店側が掲示しているメニュー画像と実際の料理の乖離にあるケース以外に、配達員の「雑な配達」にあるケースもみられるが、配達員の過酷な労働環境と報酬額の低さも指摘されており、配達員を批判すれば解決されるような単純な問題ではないようだ。

 報酬体系をめぐっては、配達員と運営元の間でたびたび争いが生じてきたという経緯がある。Uber Eats Japanは2021年3月に一部地域で新たな配達料金体系を導入したが、報酬の引き下げが発生しているとして配達員らが構成する労働組合ウーバーイーツユニオンは料金の計算式を公表することなどを求める緊急声明を発表。ちなみに同ユニオンは運営元に対して料金体系の透明化や処遇改善に向けた団体交渉を申し入れていたが拒否されたため、20年に東京都労働委員会に運営会社との団体交渉権を認めるよう申し立てを行い、昨年11月に同委員会は運営会社側に団体交渉に応じる命令を出すなど、対立している。

 では、現在の報酬体系はどうなっているのか。Uber Eats Japanの公式サイトによれば、報酬は「配送料」と「プロモーション」で構成される。「配送料」は「配達に費やす予定の時間と距離、および商品の受け取り場所や届け先が複数あるかどうかを基に算出」される基本金額と、配達の需要が高い場合や交通が混雑している場合に加算される「配達調整金額」からなる。「プロモーション」は注文の多い場所や時間に加算される「ブースト」と呼ばれる料金だが、各項目の具体的な計算方法は公表されておらず、配達員はアプリ上で受け取る「配達リクエスト」で1回ごとの配達料を知る以外に術はない。公式サイト上には配達距離1.2km、所要時間12分で350円というサンプルがみられ、「東京都内だと2~3km圏内で1回あたり300円くらい。時間帯や日によっては数百円プラスになることもある」(配達員経験者)というのが相場のもようだ。

報酬の引き下げが発生か

 Uber Eats Japanは5月に配送料の算出に使用するシステムを変更。配達報酬の算出方法も改定されたが、これに伴い配達員が受け取る報酬が引き下がる事例が出ているといわれているが、外食業界関係者はいう。

「配達報酬の算出方法が不透明だとよくいわれるが、その時間帯、そのエリアでの注文数や配達員数などをもとに自動で算出するAIチックなアルゴリズムを組んでいるとみられ、ブラックボックス化しているというよりは、具体的に『こういう計算式だ』と説明できるものではないというのが正しい言い方では。出前館やWolt、menuなど宅配サービス市場は参入企業が増えて過当競争状態で、サービス利用料の価格競争が激しくなっていることも、配達料の値下がりにつながっている。

 また、利用者のみならず配達員の奪い合いが生じているエリアもあり、個人の配達員側も同時に複数の宅配サービスにまたがって働くのが当たり前になっている。Uber Eatsはまだまだ利用者が多いので報酬が低くても配達員を確保できているが、他社サービスの利用者が増え報酬も引き上げられていけば、Uber Eatsも配達員の確保に難が生じてくるかもしれない」

 配達料の実態について、ライターでUber Eats配達員の渡辺雅史氏はいう。

「東京の港区や中央区で自転車配達の場合、配達距離が1kmだろうと2kmだろうと、ほとんどが1回300円。ベースが100円、ブーストが50円なら配達調整金額は150円で、ベースが100円、ブーストが0円なら配達調整金額は200円というかたちで、合計金額が300円になるように配達調整金額を使って帳尻を合わせているという印象。計算の根拠は配達員にも非公開で、雨が土砂降りの時などはブーストの金額が跳ね上がるので、その時々の需要量や配達員の数によって変動するダイナミックプライシングのような仕組みなのだろう。

 私が配達員を始めた5年半くらい前は1回あたり500円ほどだったが、徐々に下がってきている。以前はお昼時間に2時間やって5000円くらい稼げたが、今では2000円稼げればよいほう。

 ちなみに、自転車よりバイクによる配達のほうが同じ距離でも配達料が高いと聞くので、運営元としては短い距離しか走れず重い荷物を運べない自転車の配達を減らそうとしているのではないか」

 配達料低下に加え、配達員の労働環境も徐々に厳しくなっているという。

「運営元は配達員に対してマスク着用を強制はしていませんが、飲食店や注文者がアンケートで『配達員がマスクをしていなかった』として評価を下げることがあると言われており、一定の評価以下が続くと配達員はアカウントを停止されて仕事ができなくなってしまう可能性があるため、マスクを着けざるを得ない。マスクを着用しながら長時間、自転車を運転して荷物を運ぶのは相当苦しい。また、ヘルメット着用も『努力義務』となっていますが、先日、炎天下でヘルメットとマスクを着用して配達をしていたら熱中症気味でフラフラになり歩けなくなってしまいました」

 自由な時間に働けるという点以外、Uber Eats配達員という仕事にメリットを見いだすのは難しそうだ。

BusinessJournal編集部

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