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MAPPAに苦情続出…アニメーターに大量の仕事振る→報酬交渉は先延ばし

文=Business Journal編集部
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MAPPAのHPより

『呪術廻戦』『進撃の巨人』『チェンソーマン』などの数多くの人気アニメシリーズの制作を手掛けるアニメ制作会社・MAPPAをめぐり、同社から仕事を受けた経験を持つアニメーターによるものと思われるSNS上での投稿が相次いでいる。同社が外部のフリーランスのアニメーターなどに、報酬額が不明瞭なまま大量の仕事を振ったり、スケジュールがあり得ないほどの短期で仕事をさせたり、制作に苦情を言わない旨の誓約書に合意させたりしているという内容もみられ、同社の体質がクローズアップされている。

 細田守監督作品『時をかける少女』(2006年)、『サマーウォーズ』(2020年)などで知られるアニメ企画・プロデューサー、丸山正雄氏が2011年に設立したMAPPAは、2016年公開の映画『この世界の片隅に』のヒットでその名を知られる存在となり、現在では国内屈指のアニメスタジオとしての地位を確立。22年にはアニメ制作会社としては異例の100%出資によって制作したテレビアニメ『チェンソーマン』が大きな反響を呼んだことも記憶に新しい。

 同社の意欲的な制作姿勢は、その量に表れている。今年だけでも『進撃の巨人 The Final Season完結編』『とんでもスキルで異世界放浪メシ』など計7本の作品が放送・放映。現在もテレビアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』『同 渋谷事変』が放送中で、映画『アリスとテレスのまぼろし工場』も公開中だ。

<約束を何回すっぽかされるのか> 

 そんなMAPPAをめぐり、ちょっとした炎上騒動が起きている。『呪術廻戦』の制作に携わっているフリーアニメーターが今月、SNS・X(旧Twitter)上で次のように投稿。

<ヤバくなって仕事はめちゃくちゃ頼んでくるけど お金の交渉になると1ヶ月以上先延ばしされる。M〇PPAはそういう会社です。もう流石に黙ってるの疲れた>

<約束を何回すっぽかされるのか> 

 これ以外にも、同社から仕事を受注している他のフリーアニメーターたちからも、同社に関するものと思われる以下のような投稿が相次ぐ事態となっているのだ。

<リアクションの量から本当にでかい規模の作品なんだなと思うと同時に 他と比べて作業料金は特別なものではなく、むしろ役職的に割に合わないぐらいな額しかでてないのが悲しいところ。夢がない>

<前やった作品はそこまで思わなかったけど今のやつでよかったとこを 会社の名前あげて褒められてるのは心底不快だ。褒められるべきは外部の業務委託者と人を集めるのに動き回った監督、踏ん張ってる制作撮影等社内の各部署>

<激重2クール作品で最初から話数ストックずっと0だし オールラッシュやれなくて当然だし突貫工事がすぎる。作品によってはまあそれでもしゃあないとは思うけど このタイトルをそんな適当に作るなよ>

<今いる所、基本ぐちゃぐちゃでろくでもないのでがんばりたい人は関わらんほうが良い。適当にやって適当に金もらいたいなら良いとこかもしれん。ぐちゃぐちゃな反面チャンスも転がってるし注目作もやってるので 新人が名前を売るのにも良いかもしれん。けどやっぱ頑張りたい人は関わらん方が良さそう>

<愚痴言われないために誓約書書かせるんじゃなくて 愚痴言われないような環境を整えにいってくれないだろうか>

<会社の用意した期間内でもしまともな労働時間で作ってたら 本当に酷いものしかできあがらないと思うよ>

<普通に考えたら到底間に合わせられないスケジュールを スタッフ全員が地獄を見ながら何とか完成させて、その結果だけ見た上の人たちが「なんだかんだ言って出来んじゃん!」と 勘違いして改善を怠る最悪の循環 始まりは4ヶ月で映画を一本完成させてしまったことなんだろうな…> 

<今までも大変でしたが、38は特にスケジュールが無い話数だったので 本当にしんどかったと思います>

 アニメ業界関係者はいう。

「SNSで書かれている短納期や労働に見合わないレベルの報酬、報酬額が決まらないままでの作業発注などは、業界全体に共通している問題で、MAPPAに特別問題があるということではないだろう。フリーのアニメーターに発注している同社の現場の人たちも、とにかくスケジュールを間に合わせるために人をかき集めることで頭がいっぱいになり、外部のフリーランスのクリエイターたちに無理なお願いをしているという感覚が麻痺しているのでは。この業界では珍しいことではない。特に同社は常に複数作品の制作が同時進行しているとみられ、いくら人がいても足りない状況だろう」

大半のアニメーターは個人事業主として業務委託契約

 以前から低賃金・長時間労働が指摘されてきたアニメ制作業界だが、現在でもその状況は大きくは変わらないようだ。日本アニメーター・演出協会がまとめた『アニメーション制作者実態調査報告書2019』がアニメ業界のさまざまな役職の年間収入(2017年時)をまとめた調査データによれば、300万円以下は41.1%、うち200万円以下は22.8%。300万円~500万円は27.5%で、500万円以上は30.5%となっている。当サイトは8月に掲載した記事で次のように報じていた。

「業界の大半のアニメーターは個人事業主として業務委託契約で、例えば動画マンだと1枚数百円と決められた単価の絵を何枚描いたかで、月収が決まっていきます。会社員のように月々決まったお給料がもらえるのではないということです。そうなると、まだ不慣れな新人のアニメーターや絵を描くのが速くないアニメーターは、おのずと収入が少なくなってしまいます」

「30年前の時代は最低保証というような制作会社側の仕組みもなく、描く枚数をこなせないアニメーターは月収が5万円にも満たないということも多くありました。ですから月5万円だとしても、最低保証が付いているというのは、昔に比べたら改善されているともいえます。また30年前頃は、動画を1枚描いて単価が100円というのが普通でした。近年は1枚200円や300円という単価の作品が増えています」

 本件に関し当サイトはMAPPAに見解を問い合わせたが、期日までに回答は得られなかった。

(文=Business Journal編集部)

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