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では、なぜ「ゴーン改革」はうまくいったのか。それは、仏ルノーという後ろ盾があり、白紙委任状を手にして日産に乗り込んだため、存分に腕を振るうことができたためだ。
しかし、外国人が日本企業の経営トップに就任するケースでは、失敗例が事欠かない。
典型的なのが、2005年にソニーCEOに就任したハワード・ストリンガー氏の例だ。放送業界出身の同氏は、ソニーの本流であるエレクトロニクス部門の問題点を最後まで理解できなかったといわれている。同氏がトップに就くと英語力の高い社員が昇進。その代表格が同氏の後にCEOに就いた平井一夫氏である。ストリンガー氏がCEOの期間、ソニーの業績は悪化の一途をたどったにもかかわらず、同氏に巨額の報酬が払われ続けたことに批判の声も上がった。
また、日本板硝子も国際化を進めるため、英国の大手板硝子会社、ピルキントンを買収し、グローバルなビジネスに通じているという理由でピルキントン出身のスチュアート・チェンバース氏を社長に起用した。だが、「子供が私の顔を忘れてしまう」との言葉を残して帰国してしまった。帰国理由は、同氏が日本の企業風土に馴染めなかったためと見られている。
欧米企業ではトップダウン経営が主流なため、外国人社長はそのポストに就くと全権の委譲を求める。日産のように破綻の瀬戸際に追い込まれている場合は、全権委任が良い結果をもたらすこともある。しかし、ソニーや日本板硝子の事例のように、単に国際化を進める、という理由で外国人を経営トップに起用した場合は、経営の混乱を招くだけで終わるケースが多い。
武田はこうしたジンクスをはねのけ、ウェバー氏の下でこれまで以上にグローバル化を推進していくことができるのか、今後の動向に注目が集まっている。
(文=編集部)
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