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新幹線事故で運休「謝罪が一切なしのリリース」に批判→JR東海の深い理由

文=Business Journal編集部
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JR東海、東海道新幹線
東海道新幹線(「Wikipedia」より)

 東海道新幹線が事故の影響により浜松-名古屋駅間で終日、運転を見合わせた件で、JR東海が発表したリリース文がネット上で物議を醸している。「一切、謝罪の言葉がない」ことに対して疑問を呈する向きがある一方で、「事故の原因と復旧状況を簡潔に伝えていて良い」と評価する声もある。JR東海に直接、リリース文に謝罪の言葉がない理由を聞いた。

 7月22日、東海道新幹線が浜松-名古屋駅間で終日、運転を見合わせた。原因は保守用車両2台が衝突、脱線したことによる。JR東海によると、21日の終電後に豊橋-三河安城駅間で、線路のメンテナンスを行っている際に、作業中の保守用車両に、走ってきた別の車両が衝突したという。同事故では、男性作業員2人が首の骨を折るなどのけがをした。

 多くの学校で夏休みに入った直後ということもあり、多くの利用客に混乱が走った。新幹線の停車駅では、ホテルの確保に動く人、別の移動手段を探す人、駅で運転再開を待つ人など、大混雑となった。飛行機などの代替手段を探っても、チケットを入手できないケースが多く、途方に暮れる人も多かった。在来線などで目的地へ向かっても、その日の予定をこなすことは難しかったのではないだろうか。

 そんななかで、東海道新幹線を運行するJR東海が発表したプレスリリースが話題になっている。「東海道新幹線 豊橋駅-三河安城駅間の保守用車脱線について」と題するリリース文を見ると、「発生日時」「発生場所」「概況」「状況」「原因及び対策」「検査履歴」「今回の輸送障害時におけるお客様への情報提供」の7項目を報告しており、あいさつ文や謝罪文などはない。

 この発表を受けてSNS上では、JR西日本やJR東日本などが事故による運転見合わせの際に発表したリリース文と照らし合わせ、「他社は謝罪から始まるのにJR東海は謝罪文が一切ない」と疑問視する声があがると、「サービス業なのだから、対価を提供できない場合には謝罪から始めるべき」「終日運転見合わせになるほどの事故なのに謝罪が入っていないのは殿様体質を感じる」など、批判的な声が相次いだ。

 だが、その一方で、「JR東海はすぐに記者会見を開き、そこで社長が謝罪している。リリースは状況説明をする場所と割り切っているのではないか」と、リリースに謝罪文がない理由を推察する向きもある。また、「余計な文章はいらない。特に事故が収束していない状況で発するリリース文は端的に状況報告のみでいい」と評価する声も少なくない。

 そこでBusiness Journal編集部は、JR東海広報室に今回のリリース文に謝罪がない理由について話を聞いた。

――他のJRのリリースと異なり、JR東海の事故等のプレスリリースには謝罪の文言がないが、どのような意図で作成しているのでしょうか。

広報担当者「プレスリリースについては、事象の概要・事実経過・推定原因等をわかりやすく端的にお伝えすることを重視して作成しております。なお、弊社からのプレスリリースにも謝罪の文言が入ったものもあります。今回の保守用車の脱線については、当日中に報道機関の皆様にお集まりいただいて、謝罪と概要の説明を行ったことを報道していただきました」

 実際に今年3月に、東海道新幹線の車内で、JR東海から警備業務を委託されている全日警の警備員が、寝ている乗客の体を触っていたことが判明した際に発表したリリース文では、事象の概況を説明しつつ、「お客様の安全を守るべき警備員が車内でこのような事象を発生させましたことを重く受け止め、深くお詫び申し上げます。今後同様の事象が発生しないよう指導および管理を徹底してまいります」との謝罪を掲載している。

 JR東海は謝罪する気がないわけではなく、事故が収束していない時点では、状況を伝えることを重視し、あえて簡潔な文章にしていたのである。

(文=Business Journal編集部)

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