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「空間を売ってる?」のプリングルズが「容器縮小して内容量そのまま」と開き直る

文=Business Journal編集部
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プリングルズとチップスター

 ポテトチップスの代名詞的存在の「プリングルズ」。内容量は変わらず容器がコンパクトになったのだが、消費者からは怒りの声が上がっている。なぜなのか。

 世界140カ国以上で販売され、年間10億ドル(約1500億円)以上売り上げている、ポテトチップス界のガリバーともいえるプリングルズ。1968年に米国でプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が発売し、2012年にケロッグ社が事業を買収。日本では1994年から販売が始まり、2020年4月から日本ケロッグが直販する現在の体制となっている。

 前身のP&G時代から数えると、約60種類のフレーバーを発売し、常に新しい顧客を開拓しつつも、定番の味も根強いファンをつかんで離さなかった。

 そんなプリングルズについて今年4月、蓋を開けて「1枚も食べていないのに指が届かない」と嘆く声がXに投稿されると、その投稿の表示回数は900万回を超え、「そんなに中身減ったの?」と驚きの声があがるとともに、「測ってみたら上部8cmほど空白だった」など実際に計測した人も現れた。

 そこで、Business Journal編集部は日本ケロッグの広報部に問い合わせてみると、2022年9月に現在の内容量(ロング缶105g、ショート缶53g)に改定され、それ以降は変わっていない。しかもその際、内容量の変更に合わせて容器もサイズが縮小していると説明していた。

 だが9月2日分から値上げとともにパッケージが変更になった。一部の新パッケージには、「コンパクトになって内容量そのまま」と記載している。価格はオープン価格だが、想定改定率は15%前後だという。

 値上げの理由について、「近年の原材料価格の大幅な上昇、資材費やエネルギーコストなどの高騰」を挙げ、パッケージを小さくしたことにより、「持ち運びやすさの向上、包材使用量の削減に加え、缶の中の空間が減らすことでチップスの欠損の軽減を図る」としている。

 そこで今回、あらためてプリングルズの広報担当者に話を聞いた。

ーーなぜ今、容器を小さくしたのでしょうか。

「近年の原材料価格の大幅な上昇、並びに資材費やエネルギーコストなどの高騰を受け、
自社の企業努力によるコスト削減だけでは現状の価格の維持が極めて困難な状況に至ったため、このタイミングで改定させていただくことになりました。同時に、空間率減による配送時のチップス欠損の軽減やコンパクトな持ち運びやすさを実現しております」

ーー2022年に内容量が減った際に、容器を小さくしなかったのはなぜでしょうか。

「2022年9月のタイミングでも内容量と合わせて容器の高さも変更しております」

 確かに、2022年9月以前は110g入りの商品で高さ214mmだったが、改定後は206mmになっている。

 だが、SNS上では、今回のパッケージの縮小について批判的な声が多い。

「こいつしれっと開き直ったぞ」

「とうとう内容量減らしたならせめて入れ物も小さくしろよっていうユーザーの声に応えたかぁ」

「むしろそれが正しい大きさ 下手な内容量詐欺すんな」

 批判の理由は、従前のパッケージが内容量に対して大きすぎ、「空間を売っている」「パッケージ詐欺」と言われてきたことが背景にある。内容量を変えずに容器を小さくできるということは、裏を返せば今までは内容量に見合わない大きさだったことを認めているに等しい。

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 Business Journal編集部は、今回新しくなったプリングルズを購入してみた。これまで同じサイズだったヤマザキビスケット「チップスター」と並べてみると、かなり小さくなったことがわかる。ちなみに、どちらも内容量は「105g」となっている。ところが、意外にも量ってみると「114g」入っていた。

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 プリングルズに限らず、ポテトチップスは内容量が減り続けている。たとえばカルビーのポテトチップスのレギュラーサイズを見てみると、2000年前後は90~100gほどだったが、2020年頃からは80gで、価格も上がり続けている。最近では「食べきりサイズ」として60gのパッケージが多く出回っている。湖池屋のポテトチップスも2010年頃からレギュラーサイズは60gになっている。さらに同社は、10月にポテトチップスなど27品目を値上げする。うち10品目では内容量も減らすという。

 かつては子どもが気軽に食べられるおやつだったポテトチップスが、今や大人の贅沢なおやつになりつつある。実際に、高級志向の商品も増えており、テイストもビールのつまみを意識した商品の人気が高まっている。今後、ポテトチップスはさらなる高級化の道をたどっていくのだろうか。

(文=Business Journal編集部)

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