ヤマト運輸を騙った詐欺メール、精巧すぎて見分け困難だと話題…見抜くコツ

ヤマト運輸の配送車(「Wikipedia」より)

 ヤマト運輸を騙った詐欺メールが非常に精巧だと話題になっている。詐欺メールは昔からよくあるが、近年、その精巧さは格段にレベルが上がっており、真偽を見分けるのが難しくなっている。荷物が届く予定がない場合など、まったく身に覚えがなければ疑いを挟む余地もあるが、頻繁に通販サイトで買い物をしている人であれば、つい詐欺メールを信用してしまいかねない。防犯アドバイザーに、詐欺メールを見分ける方法を聞いた。

 X上に、あるユーザーが「ヤマト運輸の詐欺メールのレベルが上がってる」との文面とともに、不在配達を知らせるメールの写真を投稿した。その写真は、「荷物が配達できなかったお知らせ」とのタイトルで、「受け取りの日時や場所をご指定ください」と記載されている。さらにメールを読み進めると、「再配達を依頼する」というボタンがある。おそらく、これをクリックするとフィッシング詐欺サイトに飛ぶとみられる。

 ヤマト運輸の公式サイトでも、同社を装った迷惑メールやセキュリティに必要な認証番号等を聞き出そうとする電話があるとして、注意を呼び掛けている。直近では、「クレジットカード情報を入力」させようとする手口が目立っているという。

詐欺メールの見分け方

 あまりにも精巧なメールだが、見分ける方法はあるのだろうか。防犯アドバイザーの京師美佳氏に話を聞いた。

――ヤマト運輸を騙った詐欺メールが話題になっていますが、このような詐欺メールは最近増えているのでしょうか。

「特にコロナ禍以降、フィッシング詐欺が増えていて、さらに携帯電話番号のSMSに送るスミッシング詐欺も増えているのが現状です。コロナ禍で外に出られない時期に、ネットを使って仕事をしたり、買い物する方が多くなり、それに伴って詐欺メールも増えました。その後もネット利用は減らなかったことから、詐欺メールも増えているといえます。

 また傾向としては、ヤマト運輸など身近で覚えのあるメールなど、URLをクリックしないといけないと思わせる内容で、クリックした人からIDやパスワードを抜き取るという詐欺が多くなっています。なかにはクリックするだけでウイルス感染するものもあるので、いずれにしてもメールに書かれているURLはクリックしない、電話番号にも電話しない、ということが重要です」

――詐欺メールは、ヤマト運輸に限らず、実際にそれぞれの業者が顧客に宛てたメールをコピーして悪用しているようで、極めて精巧です。どのようにすれば見分けられるでしょうか。

「まず、PCであればウイルスソフトを入れている方が多いと思いますが、常に最新の情報にアップデートしてブロックを強化することが大切です。それでも一定数はすり抜けてきますので、企業からのメールは、覚えのある内容であっても、URLなどは決してクリックしてはいけません。たとえば、『転送』などのボタンを押すと宛先に相手のメールアドレスが表示されるので、怪しいアドレスになっていないか確認するといいでしょう。詐欺メールのほとんどは、おかしなアルファベットの羅列などになっているので、見分けることができます。

 また、スマートフォンなどに送られてくるスミッシング詐欺メールの場合、今は“詐欺対策アプリ”という無料で使えるアプリがあるので、ダウンロードしておくといいでしょう。さらに、300円ほどでプレミアムバージョンもあり、詐欺メールをすべて振り分け、迷惑電話も拒否してくれます。お年寄りや、あまりスマホの取り扱いに明るくない方などにはおススメです。ちなみに私が使っているのは『Whoscall』というアプリで、詐欺電話の番号が25億個ほど登録されていて着信を拒否してくれ、詐欺メールも100億件ほど登録され、迷惑メールとして振り分けてくれます。お子さんやお孫さんから、ご高齢の方にプレゼントするのもいいかなと思います」

送られてきたメールは疑ってかかり、必ず“ひと手間”をかける

――フィッシング詐欺であれば、URLを踏ませる形が多いかと思いますが、ヤマト運輸の場合であれば電話番号が記載されていて、再配達を依頼しようと考えてしまうケースもあるようです。騙されないために心がけるべきポイントはありますか。

「フィッシング詐欺の場合と同じで、メールに書かれている文面を信用しないことです。対策も同様で、転送ボタンを押すなどしてメールアドレスを確認することがひとつ。それから、通常は不在配達であれば必ず不在票がポストに入っていますので、それを確認するようにしたほうがいいでしょう」

――ヤマト運輸の詐欺メールでは、本物のメール文面がコピーされ、過去に使われた追跡番号などが記載されているということで、疑いを持たずに信じてしまうということもありそうです。

「ネット通販などで買い物をした場合、通販サイトで追跡番号を確認し、ヤマト運輸などの公式サイトで番号を検索する、という作業を面倒くさがらずに行うべきです。意外と詐欺被害に遭うのは、よくヤマト運輸を利用している方です。ヤマト運輸の会員登録をしていて、配達情報がメールで届くように設定していると、信用しやすいのだと思います。しかし、メールが届いたとしても、常に自分で公式サイトやアプリを開いて確認する、という作業を習慣づけてほしいと思います」

 面倒ではあるが、精巧になっている詐欺に騙されないためには、常にワンクッション入れて、自分で公式サイトを開いて確認するという作業がカギになる。

(文=Business Journal編集部、協力=京師美佳/防犯アドバイザー)

京師美佳/防犯アドバイザー:取材協力

トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。法人営業部の責任者を務める中で、防犯設備士の資格を取得。その後、防犯ガラスメーカーで、セキュリティ事業部長や防犯アドバイザーとして活躍。2005年に独立して、京師美佳セキュア・アーキテクト設立。現在は講演やテレビへの出演。雑誌や新聞への寄稿など多方面で活躍中。

Twitter:@kyoshimika

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