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サイゼリヤ「カリッとポテト」終了→似た新商品発売は実質値上げ?味に不評も

文=Business Journal編集部
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サイゼリヤの料理

 イタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」は、関東などの一部エリアで人気メニュー「カリッとポテト」(280円/税込、以下同)の販売を終了し、代わりにハッシュドポテト「ポテトのグリル」(300円)を新たに発売。食感が変わったため一部SNS上では不評の声もあがるなか、新商品のほうが価格が高いため事実上の値上げではないかという見方も出ている。値上げをしないと宣言することで消費者から共感を得ているサイゼリヤだけに、“カリッとポテト問題”が思わぬ逆風を招きかねない空気も漂い始めている。

 国内に1055店舗、海外に485店舗(2023年8月期)を展開するサイゼリヤといえば、リーズナブルな価格でクオリティの高い料理を楽しめることで多くのファンを持つことで知られる。200円の「柔らか青豆の温サラダ」、300円の「辛味チキン」「ミラノ風ドリア」「ポップコーンシュリンプ」、400円の「ミートソースボロニア風」などと並び、「カリッとポテト」も多くのファンを持つ人気メニューの一つだった。

 そんな「カリッとポテト」が北海道、東北、北陸、関東の一部エリアなどで10月15日をもって販売が終了し、それに代わるかたちで16日に「ポテトのグリル」が発売。ハンバーグメニューなどの付け合わせとして提供されているポテトも「カリッとポテト」から「ポテトのグリル」に変わる。一口サイズのポテトをオリーブオイルで焼いた“カリッと感”がウリだった「カリッとポテト」に対し、「ポテトのグリル」は一回り大きなサイズのハッシュドポテトとなっている。食感が異なるため、SNS上では以下のようにマイナスの反応も目立つ。

<以前のポテトの方がもっと量も多かったし美味しかった>

<サイゼリヤのポテトは残念>

<こんなの改悪だよ…>

<ハッシュドポテトここまで揚げると美味しくないよ>

<お値段(ほぼ)据え置きな代わりにメニューをデグレしてくるのは極力控えていただきたい>

<量は減りましたね>

<カリッとじゃなくサクッとだよこれじゃ>

<おいサイゼリヤ。お前には失望しそうだよ>

食感が変化

 もちろん好意的な評価もみられるが、外食チェーン関係者はいう。

「旧商品も新商品も下茹でしたジャガイモを多めの油で焼くというか、ほぼ揚げるといっていい調理方法なので、基本的には味はほとんど変わりません。ただ、ハッシュドポテトはマッシュした状態のジャガイモを焼くのに対し、『カリッとポテト』は小さくカットしたものをそのまま焼き、サイズも結構違うため、食感が変わってきます。『カリッとポテト』のほうが小さいので一個あたりが吸う油の量が少なく、水分も少ないため、“カリっと感”が強くてあっさりしていて、より素材の味を味わえるでしょう。それに比べると、ハッシュドポテトはやや“ボテっと感”があると感じる人が多いかもしれません」

値上げしても『カリッとポテト』を継続すべき?

 今回のメニュー切り替えをめぐっては、素材や調理工程がほぼ同じであるにもかかわらず新商品のほうが価格が高くなっているため、事実上の値上げではないかという見方も出ている。原材料費の高騰を受けて外食チェーン各社が相次ぎ値上げに動くなかで、サイゼリヤは値上げをしない方針を打ち出すなど、外食チェーンとしては異例の試みも消費者から好感を持たれる要因となっているが、そのような意図はあると考えられるのか。

「もし仮に1品あたりの総容量が減っているのだとすれば、事実上の値上がりということになるでしょうが、新商品のほうが量が多いか少ないのかどうかは、わかりません。また、ハッシュドポテトはジャガイモをマッシュするという工程が入ってくるため、調理工程が増える可能性もありますが、『カリッとポテト』はできるだけ均等なサイズにカットして焼かなければならず、最終形態として小さなパーツがたくさん使われる料理というのは何かと手間と面倒がかかるため、トータルでみるとどちらが調理工程として労力がかかるのかは微妙なところではあります。ただ、金額の絶対的な値は新商品のほうが高くなっており、素材も同じで似たような商品でもあるため、事実上の値上げといっていいのではないでしょうか。値上げ幅はわずか数十円とはいえ、サイゼリヤは国内に1000店舗以上を展開しているため、トータルでみるとその効果はそれなりに大きくなるかもしれません。

 サイゼリヤはここ数年、国内事業については赤字が続いて利益が出にくい状況であり(24年8月期は黒字転換)、その一方で値上げをしないと宣言しているなか、粉チーズの無料提供を終了させるなど事実上の価格転嫁などを進めており、今回の件もその一環といえるでしょう。ただ、サイゼリヤのメニューは全体的にかなり安いのは確かなので、多少値上げしたところで客離れは起きないでしょうし、“数十円くらい値上げになってもいいから『カリッとポテト』を継続してほしかった”と感じるファンは少なくないのではないでしょうか。値上げしない宣言を守るために、ファンが多いメニューをやめるというのは、少し顧客志向から外れているような気もします」

 サイゼリヤの24年8月期連結決算は、中国事業が拡大した影響で純利益が前期比58%増の81億円で過去最高益を更新。売上高は23%増の2245億円、営業利益は148億円となっている。

(文=Business Journal編集部)

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