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AI導入の「壁」をどう崩すか? 業務モデルを“AI前提”で再設計する「AI×BPaaS」の正体

2026.02.27 19:00 2026.02.27 18:54 企業

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【記事の概要】
SHIFTが提供を開始した「AI×BPaaS」は、AI導入がPoCや部分最適に留まる企業の課題を解決する新スキームだ。最大の特徴は、AI導入を目的とせず、AIが実行し人が責任を負う「AI前提の業務再設計」にある。自社で実践した経理・採用等の成功モデルを基に、API連携困難な基幹システムを含む業務全体をAI駆動オペレーションへと転換。バックオフィスをコストセンターから意思決定の拠点へと変革する、DXの新たな勝ち筋を提示している。

 生成AIの登場から数年。多くの日本企業が「AI活用」を掲げてPoC(概念実証)を繰り返してきたが、その多くが現場の定着に至らず、期待されたほどの生産性向上を実現できずにいる。こうした「AI導入の踊り場」に一石を投じる動きが出てきた。

 ソフトウェアテストの国内最大手、株式会社SHIFT(本社:東京都港区、丹下大社長)は、AIの活用を前提に業務モデルそのものを再設計し、運用までを一気通貫で請け負う「AI×BPaaS(Business Process as a Service)」の提供を開始した。単なるツールの導入支援ではなく、業務プロセスを「AI駆動」へと作り変える同社の戦略は、停滞する企業のDXを動かす解となるのか。

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「部分最適」が招くAI活用のジレンマ

 現在、多くの企業が直面しているのは、従来の人手を前提とした業務フローの一部に、無理やりAIを組み込もうとする「部分最適」の限界だ。

 請求書の突合や採用候補者のスクリーニングといった業務にAIを導入しても、結局は「AIの誤回答の修正」や「例外対応」に人手が割かれ、現場の負担がかえって増大するケースが少なくない。また、AIに判断を委ねることで業務がブラックボックス化し、有事の際に誰も対応できなくなるというリスクも、企業の重腰に拍車をかけている。

 SHIFTはこの課題に対し、「AI活用の成否はツールではなく、業務の再設計にある」と断じる。同社が提唱する「AI駆動オペレーション」は、最初から「AIが処理を実行し、人間は例外対応と責任を負う」という役割分担を前提に、業務フローをスクラップ・アンド・ビルドするものだ。

自社を「実験場」にした確信

 今回のサービス展開の背景には、徹底した自社実践がある。SHIFTは、これまで年間2,000人規模の採用や膨大な経理処理を、自社開発のAIエージェントやアルゴリズムを駆使して回してきた。

 例えば、採用業務では同社の面接ノウハウをAIに学習させ、評価のばらつきを抑制。経理業務ではAI-OCRと差異検知AIを組み合わせ、人間を「確認作業」から「高度な判断業務」へと解放した。こうした自社での成功体験を外販可能な「BPaaS」へと昇華させたのが、今回の新サービスだ。

 特筆すべきは、同社が「ヒューマン・イン・ザ・ループ(人間が介在するループ)」を設計思想の根幹に据えている点だ。AIがすべての責任を負うのではなく、責任や倫理、例外対応は人間が担う。この明確な線引きが、保守的な大手企業の基幹システムや、API連携が困難なレガシー環境においても、AIを安定稼働させるカギとなる。

「コストセンター」を「利益創出部門」へ

 SHIFTが狙うのは、バックオフィス部門のドラスティックな変革だ。これまで「コストセンター」と見なされてきた経理、人事、総務といった部門を、AI駆動によって効率化し、蓄積されたデータを意思決定に活用する「プロフィットセンター」へと転換させることを目指している。

 同社は、中長期的な成長戦略において、この「AI×BPaaS」を極めて重要な柱と位置づける。今後は、自社で培ったコーポレート領域の業務ロジックを順次パッケージ化し、適用範囲を拡大していく構えだ。

 AIを「魔法の杖」としてではなく、徹底した業務設計の「部品」として使い倒す――。SHIFTの試みは、ツール導入に疲弊した日本企業のDX戦略に、新たな視点を与えることになるだろう。

BusinessJournal編集部

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公開:2026.02.27 19:00