東京には全国の地方銀行、第二地銀の支店がひしめき合っており、首都圏に本店がある地銀、第二地銀は厳しい経営に直面している。
埼玉県に本店を置く唯一の地銀、武蔵野銀行(加藤喜久雄頭取)は100店舗態勢(2013年9月末で94店舗)の方針を掲げ、4月に東京・東村山市に置いていた西東京オフィスを支店に昇格させた。都内での支店開設は37年ぶりのことだ。東京・練馬区にも支店を出す予定。武蔵野銀行の大株主は三菱東京UFJ銀行で、三菱東京主導で再編が進む可能性もある。
千葉興業銀行(青柳俊一頭取)はみずほ銀行が筆頭株主だが、東京TYの東京都民銀行はもともと日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ系)の地銀のため、みずほFGとは地縁がある。
関東つくば銀行と茨城銀行が合併して設立された筑波銀行(藤川雅海頭取)は、有力な合併予備軍といわれている。
第二地銀では京葉銀行(本店千葉市、小島信夫頭取)、東和銀行(本店前橋市、吉永國光頭取)、東日本銀行(本店東京・中央区、石井道遠頭取)が注目されている。東日本銀行は茨城県が発祥だが、東京都が主な営業圏で都内に46店舗あり、東京TY誕生の影響を直接受ける。ちなみに三井住友銀行が大株主だ。
非上場の第二地銀には神奈川銀行(本店横浜市、清水三省頭取)がある。横浜銀行(寺澤辰麿頭取)と関係が深く、神奈川県外に店舗がないことから影響は少ないとの見方もある。
以上から、東京TYと営業地盤が重なる東日本銀行、みずほ銀行が筆頭株主の千葉興銀が東京TYと合流する可能性が高いとみられている。
●台湾・中国信託商業銀行、東京スター銀行買収へ
そんな中、台湾・中国信託商業銀行(台北市)による東京スター銀行の買収に対して5月中にも金融庁の認可が下りる見通しが濃厚になってきている。このため地銀再編に外銀という新たなカードが加わる。
東京スター銀行は投資ファンドのマネーゲームのカードだった。前身は東京相和銀行で「銀座・赤坂の“お水”(水商売)のメインバンク」と呼ばれていたが、1999年6月12日、当時の金融再生委員会が東京相和銀行の経営破綻を認定した。破綻の際には8000億円の公的資金が注入された。首都圏を中心に101店舗を持ち、99年3月末の預金量は2兆3000億円で、当時、第二地銀第5位の企業規模だった。その内実は長田庄一会長のワンマン経営だったため、「長田商店」といわれていた。