日本のほとんどの企業は、中小企業どころか小規模事業者です。2012年の中小企業庁の調査によると、全事業者386万のうち、実に86.5%にあたる334万社が小規模事業者となっています。
ここでいう小規模事業者とは、中小企業基本法の定義であり、製造業その他で従業員20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下の企業者のことをいいます。こうした企業の社長は、名刺では「社長」と名乗っていても、その場合多くはプレイングマネージャーであります。つまり、監督兼選手なのです。また、たとえ「株式会社」といっても、現在の会社法においては一人でつくることもできるので、社員が一人しかいない状況かもしれません。
したがって、東証一部上場で全世界に数万人もの従業員がいる「社長」もいれば、たった一人で世界に立ち向かおうとしている「社長」もいることを忘れないでください。
ここで、やはり「社長」の醍醐味といえば、秘書です。綺麗で有能な美人秘書をそばに従えてスケジュールをたずねたり、出張の予約の手配をしてもらったりするのが世間のイメージの中の社長像であるはずです。あの人気漫画『島耕作』(講談社)の中にも、多数の秘書が登場し、さまざまな役割を担っています。
「社長」になり、一国一城の主となった以上、秘書を雇うことが必要になります。それは半分冗談だとしても、一人社長の1日は忙しいのです。電話対応、メール対応、請求書送付、クレーム対応、営業先へ挨拶、お礼状を書く、外注業者との対応、それに加えて将来の飯の種となるような戦略的なことを考える時間も必要です。1日が24時間では文字通り足りないのです。
本当は、戦略的な仕事に時間を割きたいはずです。つまり、緊急性はさほど高くないにせよ将来のリターンにつながるような重要な仕事に、社長の時間を割くことが理想です。しかし、一人でやっている以上、そんなことも言っていられません。会社を回していくためには、一人であっても想像以上に雑務が発生します。ちょっとした書類、ちょっとした発送、ちょっとした連絡、ちょっとしたメールなど、時間がどんどんなくなっていきます。
では、「秘書の求人でも出してみるか」と思いますが、よく考えてみると問題点があります。フルタイムで人を雇う金銭的余裕なんか、あるわけありません。正社員で雇うことはかないません。確かに、1日かかるほどの仕事が日々あるわけでもありません。1日1時間分くらいでいいので、この雑用をこなしてくれると助かります。
●アルバイトの問題点
となると、スポットでアルバイトに頼むことになるのでしょうか? 知り合いのつてをたどって学生に頼むのもありかもしれません。今の学生なら、特に教えることなくWordが使えて、Excelも使えて、当然メール業務なんかも簡単にこなしてくれるはずです。時給も頑張って出せば、ちゃんと応募があるのではないかと思い、さっそく募集をかけてみようかとクリックした時に1つの問題点が浮かびました。