しかし、広報・宣伝といったブランディングに精通しているのは、ごく一部の企業だけだ。多くの企業は、まだまだ“マスコミを使う”ことに慣れていない。
そんな中、マスコミに取材してほしい企業と各種マスコミ媒体との橋渡しを行っているのが、メディアと企業のマッチング事業を手がけるソーシャルワイヤーだ。同社は、これまでありそうでなかった「広報インフラ」におけるリーディングカンパニーとして、今、産業界やマスコミから静かに注目を集めている。
既存の企業広報とマスコミ、双方のあり方を根本的に変える可能性のある同社は、これから何を目指そうとしているのか。
●企業とマスコミとのパイプ役
ソーシャルワイヤーで、企業広報とマスコミを取り持つ事業「Pub Match」のPRコーディネーターを務める安本菜緒子氏はこう語る。
「あくまでも立ち位置は“広報インフラ”です。まだまだ多くの企業はマスコミへのパイプを持っていません。一方で、マスコミ側は、取材先を探しています。この間を取り持たせていただくことで、企業とマスコミの双方が笑顔になることを目指しています。弊社はそのようなスタンスで事業を進めています」
「Pub Match」は、マスコミへの露出を検討している企業が、同社の運営するサイトに登録すると、登録企業の情報をマスコミ側が閲覧でき、その中から取材先を選ぶ。仕組みそのものは単純なものだ。しかし、取材してもらう交渉する労力や時間を割かなくても、効率的にメディアと折衝できる。
ともすれば、同社はIT系企業と見られがちだが、「広報インフラの役割として、今はITという媒体を用いていますが、将来、これに取って代わる媒体が登場すれば、ITへのこだわりは特にありません。企業、とりわけ広報サイドとマスコミをつなぐこと。それが弊社の社会的使命と心得ております」(同)と、あくまでも広報インフラとしての立ち位置を貫く姿勢をみせる。
同社では、企業のプレス・リリースを配信する事業「@Press」も長年行っており、このプレス・リリースから各種マスコミ媒体で記事化された実績も数多くある。ウェブ上で企業側がマスコミに自社情報を提供する「Pub Match」は、その進化形といえる。
プレス・リリース配信では、企業側が持ち込んだ原稿校正なども同社は行う。ただし、広報インフラとしての役割に徹するため、企業側へのコンサルティングなどは行わないという。