小売り激変、O2O市場50兆円の衝撃 店舗革命、原宿・竹下通り復活の起爆剤に
アプリで表示される商品は、ZOZOTOWNやメーカーの専用サイトにリンクが張られているため、そのまま購入することもできる。
当初は、店舗(オフライン)で気に入った服やアイテムがあった場合、そのバーコードをアプリで読み込ませると、その服やアイテムを使ったコーディネートパターンが見られるだけではなく、ZOZOTOWN(オンライン)でその商品を購入することも可能という、まさに逆O2Oの仕組みを実装していた。しかし、店舗でスキャンがしにくい等の諸問題もあり、バーコード読み取りサービスは停止されている。ただし、ショップスタッフ向けには同サービスの提供を続けており、商品のサイズやカラー展開、関連コーディネートなどを確認し、接客の幅を広げるために活用されている。
課題はあるが、買い物をする際にインターネットの情報を参考にするユーザーは増加しているため、WEARも洋服を買う際に活用するアプリとして、今後ますます浸透していく可能性は高い。
ほかにも、アパレル業界ではファーストリテイリングが展開するGUが写真投稿アプリ・インスタグラムで専用アカウントをつくるなど、O2Oの取り組みを進めている。
●新ビジネスモデルで竹下通りに賑わい戻る
O2Oの仕組みを使った面白い事例が、東京・原宿の竹下通りにある。竹下通りというと、裏原宿や渋谷に進出してきたファストファッションなどに押され、一時期の賑わいが遠のいていた。しかし、最近は海外からの観光客が増えており、少し元気を取り戻しつつある。そして、ここ1年、ちょっとした変化が起きている。
それは新しい店が次々と生まれていることである。しかも非常に小規模であり、その回転も非常に速い。竹下通りは「腐っても鯛」ではないが、やはり駅から続く目抜き通りであることに違いない。当然、路面店の賃料は高止まりとなっており、資本力がある企業でなければ店を開くことは難しい。それが最近は一風変わった店が見受けられるのである。
その一つは、少々殺風景なアパレルショップで、ハンガーに洋服が整然と並び、靴や帽子、アクセサリーの類いも机や床にディスプレイされている。しかし通常の店にあるものがないことに気付く。まずレジがない。またバックヤード(主に在庫などを置くスペース)がないのである。どういった仕組みになっているかというと、お客は気に入った商品があれば、Square、PayPal、Coiney、楽天スマートペイなどのモバイル決済を使い、モバイル上でショッピングするのである。店舗側は送料を負担するが、デッドスペースを活用できることと比較して考えれば、十分にメリットがある。客にとっても、荷物を持たずに街を歩くことができるというメリットがある。
上記のようにデッドスペースを活用することで、ビルのオーナーは大がかりな店舗改装をしなくても、小さな区切りをいわば「貸しスペース」のような感覚で貸し出せる。また、ファッション好きな人がフリーマーケットのように出店することも可能で、最近ではカリスマバイヤーがシークレットで店をゲリラ的に開くこともあるようだ。こういった取り組みが話題を呼び、竹下通りに人がまた戻ってきているのである。
この機会に、「オンラインとオフラインをつないで、どういったサービスができるか?」と頭をひねらせてみてはどうだろうか。
(文=岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授)
※本稿は、岡田和典氏のメルマガ「最新事例に学ぶ事業価値創造のキーファクター – 岡田流ビジネスマインド養成講座 -」から抜粋・編集したコンテンツです。
【筆者プロフィール】
ビジスパにて、メルマガ「最新事例に学ぶ事業価値創造のキーファクター – 岡田流ビジネスマインド養成講座 -」を配信中。