(7)技術革新と認証技術
万引き(窃盗)防止に欠かせない認証システムについても触れてみたいと思います。
一昔前まで、駅の改札では駅員がハサミで切符に切り込みを入れていました。高速道路では入口で職員にお金を渡しておつりをもらっていました。それが現在では、駅の改札はICカードで通過でき、高速道路はETCシステムで通行可能となっています。待ち時間の低減だけではなく、ICカードやETC利用者の情報も多くの場面に利用されています。
今後さらに生活の利便性を求めていくと、人間の作業だったものが機械に置き換わり、人間はさらに価値の高い仕事に従事する。機械に置き換わった作業はさらに効率を求めて仕組みを新しくしていくというのが、ビジネス高度化の1つの特徴でもありますので、サービス業や小売店、アイドルの握手会等で使用されるような「防犯目的」だけではなく、大規模施設の入退場管理など広い領域で認証システムが活用されることは、ビジネスプロセスの効率化につながります。その点において、前回記事で取り上げた、NECやLYKAONの認証技術の進展には期待したいところです。
(8)結論
少子高齢化に伴い、将来的に若手労働人口は減少していきます。昨今、流通・外食など一部の業界で人材不足が社会問題化しつつありますが、有効求人倍率を職種・業種別で見ると、多くの業種における事務職は飽和状態です。今後、一部の業界で人材不足が継続していくとすれば、企業は人材の募集より業務の機械化に比重を置く流れになっていくでしょう。さまざまな仕事が機械化されていくことには多くの懸念も示されていますが、人材不足に悩まされることなく事業を継続するためにも、企業が業務の機械化に積極的に取り組むという動きは、加速していくのではないでしょうか。
(文=荒川大/株式会社ENNA代表取締役)
●荒川大(あらかわ・ひろし):株式会社ENNA代表取締役。人事コンサル会社、人材紹介会社にて営業、ITセキュリティコンサル会社にて人事・総務に従事。07年に株式会社ENNAを設立し、上場企業のガバナンス体制構築及びリスクマネジメント体制構築等を支援。