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すき家、初の営業赤字で最悪の想定上回る 過酷な労働環境残存、深夜9時間休憩なし勤務も

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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すき家、初の営業赤字で最悪の想定上回る 過酷な労働環境残存、深夜9時間休憩なし勤務もの画像1ゼンショーが運営する「すき家」の店舗(「Wikipedia」より/Corpse Reviver)
「ワンオペ(1人勤務体制)廃止で深夜営業を休止せざるを得ないのは480店ぐらい」――。牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスのこの目論見は、大きく狂ってしまった。

 ゼンショーは10日、15年3月期通期連結業績予想の下方修正を発表した。売上高は従来予想から157億円減の5092億円、営業損益は80億円の黒字予想から一転して17億円の赤字と初の営業赤字を見込む。その結果、最終損益は75億円の赤字となり、年間配当は1997年の上場以来初の無配とする。

 ゼンショーはこれに先立つ9月30日、「『すき家』の労働環境改善に向けた改革の進捗について」と題する文書を発表。すき家の全国1981店のうち、59%に達する1167店の深夜営業(午前0―5時)を10月1日以降、当面休止することを明らかにした。深夜営業の2人勤務体制移行に必要なアルバイト店員数を確保できなかったのが原因だ。

 社会的批判を浴びた深夜のワンオペ廃止方針を同社が明らかにしたのは、8月6日のこと。同社に設置された第三者委員会の提言を受けての決断だったが、その時点でのワンオペ実施店は940店だった。この時の記者会見で小川賢太郎会長兼社長は「アルバイトの新規採用と近隣店舗とのやりくりで、460店ぐらいはすぐにでも2人勤務体制に移行できる」と、余裕を見せていた。

 ところが、9月末までに深夜営業を2人勤務体制に移行できたのは、わずか110店強。これにより24時間営業できる店は全国で589店に激減してしまった。すき家全店1981店の93%を占める1843店が24時間営業店だったが、そのうちの68%が24時間営業休止に追い込まれた格好となり、打撃は大きい。

●上場来初の最終赤字見通し

 今期、ゼンショーは8月にも下方修正を発表していたが、手間のかかるメニュー「牛すき鍋定食」導入による店舗オペレーションの混乱や人手不足による一時閉店など、今年3月以降に次々と起こった問題に加え、食材価格の上昇、アルバイト時給引き上げに伴う人件費増加、「2人勤務体制への移行が困難で、ワンオペの940店が深夜営業を一時休止せざるを得ない最悪の事態を想定した」(同社関係者)ことなどが前提だった。しかし、蓋を開けてみれば深夜営業一時休止は1167店に上り、現実は同社の最悪の想定さえ上回ってしまった。

 外食業界担当の証券アナリストは「社内がぎくしゃくしているゼンショーの現状を加味すると、10月以降の業績悪化加速は避けられない。15年3月期の業績は、8月発表の下方修正値をさらに下回るのは確実とみられていた」と明かす。

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