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海外事業、既存店売上、後継者問題のカギとは?

“外資系企業”ユニクロ、そして柳井正社長の正体とこれから

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――ユニクロは同業他社と比べて、どこが違うのでしょうか?

月泉 柳井氏は「ユニクロは日本で生まれた外資企業」だとよく言います。これまでの同族的な日本式経営ではなく、完全実力主義を取り入れています。ドライではありますが、欧米的な冷たさではなく、「現実的である」ということを徹底しています。「会社とともに自分も成長していくんだ」という価値観を共有する人たちにとっては、働きやすい会社だと、社員の方は言います。

――現実的に、当たり前のことを当たり前にやっているということでしょうか?

月泉 そうです。柳井氏は原理原則に極めて忠実です。しかし、これほど難しいことはないですよね。そういった意味では、柳井氏と他の役員との間に、常に緊張関係があるでしょうね。役員はある意味、一番きついと思います。求められるレベルが高いからです。いくら成長しても柳井氏は絶対満足しません。ですので、特に外部から来た役員の中には、軋轢と緊張関係に耐えられなくなって辞める役員もいます。逆に、現場から上がってきた人はあまり辞めないですね。

――最近、国内既存店の売り上げが苦戦しているとも報じられていますが、要因はなんでしょうか?

月泉 フリースやヒートテックなどの大ヒットを、毎年出すことは無理です。今が底でしょう。そろそろ今年の秋冬は、ヒット商品が欲しいところではないでしょうか。ただ、ひとつ興味深いのは、フリースの場合はユニクロは独り勝ちでしたが、ヒートテックの場合は、イオンなど他社も追随して同じような商品を出し、「ヒートテック市場」ができたわけです。つまり、ユニクロが市場を生み出したわけです。これについては、ユニクロ自身も「いいことだ」と言っています。

海外事業のカギ

――ユニクロは、海外で年間200〜300店舗を出店し、海外事業の比率を高める戦略を強めています。

月泉 欧米で成功するかが、海外事業のカギを握っていますね。欧米では、かっこよさと安さを求め、品質はあまり求めない傾向があります。一方、日本は安さと品質(機能)を求め、ユニクロはそこで勝負していますので、欧米の消費者に対しても、そうした意識付けができるかどうかでしょう。

 ユニクロは極端に言えば、ファッションではなく機能なのです。そうした意識を海外の消費者に広めるために、一昨年、米国でヒートテックを街頭で無料で配ったところ、話題になりました。徐々に受け入れられているようです。

――現在柳井氏は63歳ですが、後継者を含めた今後の経営体制については、どのように見ていますか?

月泉 柳井氏は監督権のある会長のまま、現在の執行役員5名による集団経営体制のようなイメージに移行するのではないでしょうか。柳井氏は、これまで65歳で引退すると言っていましたが、どうでしょうか……。ただ、現在会長兼社長を務めていますが、いつの時点で社長職から外れるかが気になるところですね。
(構成=風間立信/フィナンシャルプランナー)

BusinessJournal編集部

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