東洋経済の強みは、記者全員が担当業界を持ち、日々の取材活動を行っていることにあります。記者は、日々、主要企業を取材しているので、業務提携や決算発表などがあれば、その重要性を判断できます。また独自の情報を仕入れてくることも多々、あります。そこで、第一報がなされたニュースを深掘りする解説記事、もしくは他には書かれていないスクープ記事を執筆してもらうように呼びかけています。
●PVは気にするな?
――東洋経済オンラインが掲げる「PVは気にするな」「主役は記者」という方針の真意はなんでしょうか?
山田 パッケージで売る紙の雑誌と違い、ネットメディアでは1本1本の記事についてPVが明らかになります。そこで、例えば1日のPV300万のうち自分の記事のPVが3000だったとしたら、「じゃあ、書かなくてもいいのか」とモチベーションが下がってしまうかもしれません。そうではなく、読まれるか読まれないかを気にせず、自分の書きたい記事は遠慮なく書くように促しています。読者が東洋経済に求めているのも、派手さはないものの地道に取材をした企業分析記事だと考えています。
――ほかに改革したことはありますか。
山田 編集部として取り組んだのは、より多くの読者に読まれるための仕組みづくりです。今はスマートフォン時代ですから、「直接、PCのトップページに来てください」という誘導は主要なルートではありません。配信記事がスマートフォンアプリにどのように表示されるか、フェイスブックとツイッターによってどれだけ拡散していくかが重要なので、そこを重視しています。
とくにソーシャル対策は、これまでほとんどしていなかったのですが、今は、記事を配信したらフェイスブックとツイッターに紹介するコメントを書き込んでいます。おそらく、どのサイトでもやっていることだと思います。
その結果、5月時点で2万5000人だったフェイスブックのフォロワーが今では5万7000人と倍以上に増え、「いいね!」は1日200件のペースで増えています。また、ツイッターのフォロワーも3万人弱から4万人に増えました。
――そのようなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)からの読者の流入は多いのでしょうか。
山田 増えていると思います。とくにツイッターでは各記事について「何がおもしろいのか」を担当編集者が一言書くようにしているのが、効果的だったようです。
グーグルアナリティクスなどで分析してみても、効果があったことを実感できています。担当編集者が競って書き込むようになるといいと思います。