――ネットメディアにはPV至上主義のような側面がありますが、当サイトが重要視している指標はなんでしょうか?
山田 ユニークユーザー(サイト訪問者数)がどれだけいるのか、トップページがどれだけ見られているのか、1回の訪問でどれだけのページを見てもらえているのか、滞在時間はどのくらいあるか、などさまざまなKPIを見るようにしています。
とくにPCのトップページは広告がもっとも高く売れる場所で、東京・銀座四丁目のような位置です。そこが耕され、一番魅力的なページになって、トップページそのものが情報になるようにタイトルや見出しのバランスに配慮しています。
●クロスメディア戦略とマネタイズ
――一方で、マネタイズにはどのように取り組んでいるのですか?
山田 広告を記事風に見せるネイティブアドには継続的に取り組んでいきます。現在、広告部門で力を入れているのはクロスメディアの展開です。例えば、大手IT企業のセミナーを告知する広告を掲載する場合には、「東洋経済オンライン」と「週刊東洋経済」で告知する方法が考えられます。オンラインの場合には、動画広告などを作成することもできます。クライアント企業にとって、東洋経済ならではの付加価値は、紙媒体とオンライン媒体の両面から、違う属性の読者に対してリーチできることです。紙媒体を持っているからこその強みを活かしています。
ただ、オンライン編集部としてやれることは、多くの人が集まって、多くの読者に読んでいただけるメディアに育てることだと思います。「このサイトはこんなに素晴らしい」と立派なプレゼンを行なって腕力で広告を受注すれば、一時的には収入が増えるでしょう。しかし、効果がなければ経費削減などで真っ先に予算を削られてしまいます。ですから継続的に読者が集まるサイトを維持する、ということが広告をしっかり集めるためのベースだと思っています。
――ウェブの場合、どうしてもエンタメ系やネタ系などの軽い内容のほうが読まれる傾向があると思いますが、当サイトではPV増のためにそのような記事を扱うことはあるのでしょうか?
山田 例えば「ある国のスポーツ選手が美人」というような記事が人気で、大手新聞社系のサイトでもPVが多いと聞くのですが、当サイトには似合わないように思います。「いいね!」を押してもらって、できればシェアをしてもらえるような記事を掲載していきたいので、恥ずかしいような記事はあまり掲載したくありません。もちろん軽めの記事に対する誘惑はあるのですが、PV狙いの記事になってしまうので、控え目に扱うようにしています。